7-3 大人になったトリム
「平……」
マンションの小寝室。ベッドに腰を下ろし、トリムは俺にしなだれかかってきた。今日はトリム復活の夜。大宴会の後、気を利かしたみんなが、俺とトリムをふたりっきりにしてくれたんだ。
「すごく……ひさしぶりだね」
「そうだな」
俺の手に、指を絡めてくる。
「あたし……珠の中でまた平と愛し合う日を夢見てた」
「俺もだよ」
「ほんとうーっ……」
楽しそうに笑いながら、俺の目を覗き込んでくる。
「それにしては毎日、いろんな娘とあれこれしてたけど」
「まさかあれをお前に見られてたとはなあ……」
珠になった魂状態で周囲のことがわかるなら、寝台には持ち込まなかったのに。持ち込んだのはもちろん、トリムのことを片時も忘れたくなかったからだ。
そう言うと、トリムは俺の腕を胸に抱いた。
「ありがと……」
頬をすりつけてくる。
「お前、ちょっと見ないうちに美人になったな」
「またまたーあ」
「いや、マジマジ」
本音だ。もちろんルシファー戦で消えたときの姿のままだが、新鮮なせいか、どえらくかわいく見える。
よく考えたらトリム、ハイエルフだしな。人一倍かわいいのも当然だ。耳を隠して人間化けさせたときも、街行く男の視線を釘付けだからな。繁華街を歩くときなんか、俺が腰を抱いてなかったら片っ端から声を掛けられてたと思うわ。
「平のためにかわいくなったんだよ」
「意地らしいこと言うなよ」
思わず抱き締めて、キスしてやったよ。
「……こんなことしたくなる」
「はあ……」
ぶるっと一度、トリムは身を震わせた。
「素敵……」
俺の胸に指を這わせる。
「ずっと夢見てた……平の匂いがする。たくましい雄の……」
トリムから唇を求めてきた。
「ん……ん……」
「よしよし」
キスを与えながら、ゆっくり背中をさすってやる。
「あたし……子供だったよね」
「そうかな」
「うん……」
ほっと息を吐く。婚姻相手に忠誠を誓う「聖なる刻印」効果で、すでにトリムの瞳はとろんと潤んでいる。
「初めてしたとき、なにも知らなかったし」
「まあそうだな。お前はハイエルフの巫女筋だ。母親から男女のことなんかなにも聞かされてなかったしな」
初体験のときを思い出して、思わず笑っちゃったよ。あのホテルの部屋で、小学生相手の性教育みたいなのさせられたからな。
「それから平の女になって、男の子とのこと、知ったつもりになってた」
「つもりって……」
「珠になって、みんなと平が交わるのを見ていたらあたし、まだまだなにも知らない子供だったんだなって痛感したよ」
「へえ……」
「タマも吉野さんも、平とすごいことをしていたよ。あんな体勢で体中を……舐め合ったり。それに吉野さんなんか、いじめてもらってすごく気持ち良さそうだった」
「まあな……」
吉野さん、ちょっとM気質なとこがあるからな。レナとしてるところを見せながらお預けしたりとか、後ろから攻めながら胸を強めにつねったりすると、ものすごく濡れてくれる。
「だからあたし……今晩は……」
俺の手を優しく握る。ボタンを外すと、温かな胸へと、俺の手を導いた。
「平を喜ばせてあげるね。……もうあたし、大人だよ」
熱い息のまま、俺の首筋に唇を這わせる。
「もう……我慢できないよ。平を思う気持ちが、体中から溢れ出しそう……」
もぞもぞ、両腿をこすりあわせるように身をよじっている。
「あたしのこと、また平の恋人に戻して……お願い……」
「トリム、愛してる」
「あたしも」
「服はまた買ってやる」
「え?」
襟を掴むと、トリムの服を破り去った。荒々しく脱がせると、下半身も乱暴にむしり取る。
「平……好き……」
俺にすっかり体を任せ、裸のハイエルフがベッドに横たわっている。自分の服をそこらに放り投げると、トリムの脚の間に膝立ちになった。
「覚悟しろよ。今晩は寝かせないからな」
「好きだよう……」
「よしよし」
トリムの腰の下、シーツには早くも染みができていた。俺を待ちかねている恋人の中に、俺は自分を導いた。
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