3-8 ピロートーク
「ふう……」
吉野さんは、俺の裸の胸に頭を乗せた。三月というのに、ふたりとも汗びっしょり。俺の手に指を絡めてくる。
「平くん……荒々しかった」
初めての行為をして羞恥心の一線を超えたせいか、吉野さん、今日はすごく乱れた。脱がしたら最初からすごく濡れてたし、ふたり繋がりながらも、何度も俺の唇を求めてきた。俺が動くと、息を乱していやいやして……。かわいかった。
「私……初めて……」
そのまま黙っちゃったな。
「初めてイキましたね」
「……」
恥ずかしそうに、俺の胸に顔を埋める。
やっと痛くなくなってきたのもあるだろう。それに俺のやり方に慣れたのか、高まるリズムが合ってきてたし。
「平くんが悪いんだからね。私をこんなにエッチにしちゃって……」
そのまま、俺の胸に口を着けて、ふざけて吸い始めた。
「かわいかったですよ」
実際そうだ。最後に俺が動きを速めると、なにか言葉にならない言葉を発し、体を大きく反らせた。俺の頭を抱き、胸に押し付けてくる。同時に、吉野さんの中が強く収縮し、何度も何度も俺を締め付けてきて……。かわいいとしか言いようがない。
「……恥ずかしい」
それにしても吉野さん、気のせいか最近、よりきれいになってきた。それに少し脂肪が落ち、スリムになった。胸がわずかに小さくなった気はするが、その分、胸のハリも良くなって、触っても芯がしっかりしてる感じ。全体に肌ツヤとかいいし、顔もみずみずしい。
「吉野さん、最近、肌きれいですよね」
「うん……」
せっせと俺の胸の汗を舐めながら、頷いた。最初はふざけてたのに、なんかいつの間にか夢中になってるな。
「ここのところ、お化粧の乗りも良くてね。……十代に戻ったみたいに」
「見た目も若返ってますよ」
「やだ、お世辞」
「いや本当に」
マジだ。一年前に初めて会ったとき、俺が二十五歳、吉野さんは二十八歳だった。仕事上の段取りの良さこそ三十代マネジャー並なんだが、そのときでも、見た目だけなら俺より若くて新入社員といった感じだったからな。それが最近、もっと若く見える。
吉野さんは九月生まれ。今は三月だから二十九歳になってるわけだが、新入社員どころか、タマと同じくらい――つまり女子大生あたり――に見えなくもない。
「……きっと、好きな人ができたから」
「そうかもしれませんね」
パートナーができて定期的にエッチな関係を持つようになったから、多分ホルモン分泌とかが安定してきたんだろう。そんな気がする。
「吉野さん……」
俺が背中を撫で始めると、また息が荒くなってきた。
「ダメだよ平くん。……また、平くんのことが好きになっちゃう」
「……ほら」
「あっ。そこお尻」
肛門の周囲をそっと撫でると、体を震わせた。
「ダメだってば」
体を起こしちゃったか。
「ヘンな気分になるもん」
「なっていいんですよ」
「それより、ペレだっけ? 火山の女神のこと、整理しようよ」
あら、逃げられたかw
まあいいか。時間はいくらでもある。そのうち俺のしたいこと、恥ずかしがりながらも全部受け入れてくれるようになるだろう。
今晩だって、ぎこちない動きながら、初めて口でしてくれたし。終わってからキスしたら、慣れない奉仕で使いすぎたせいか、唇が火照ってた。あれは苦かったみたいだけど、うれしいって言ってくれたし。吉野さん、ややM気味なところがあるから、意外にこの行為、しっくりきたのかも。これはまた、させてあげなくちゃな。
「ペレ攻略の話か。……たしかに考えなくちゃとは思ってました」
エロ展開は諦めて、ほっと息をついた。どうせこれも、いずれ決めないとならなかったし、いい機会ではある。
「まずペレは女神だから、倒すことは多分できない。だからなんとか封じるしかない。これが原則ですよね、吉野さん」
「天使のイシスさんによると、天界が説得することはできないって話だったわよね」
「ええ」
女神と言っても天界に所属する神ではない。だから神が命じて止めさせることはできない。同様の理由から、イシスの黒真珠・白真珠での封印は無理。
「魔族でもないから、ソロモンの聖杖はなんの効果も持たないのよね」
「ええ。バスカヴィル家の魔剣は、別世界の混沌神の力を持つ。よってフルパワーを使えばおそらく封印か討滅はできるものの、俺が死んじゃうし」
「そもそも平くんの寿命を戻すために延寿の秘法を探してるんだから、意味ないしね」
「ええ。それに残寿命が足りないから、起動自体できないだろうって、ドラゴンロードのエンリルも言ってたわけで」
ミネルヴァの大太刀は、元が女神のアーティファクトだけに、ある程度の牽制効果はありそうだという。あれ、雷系の魔法も出せるからな。
「唯一、封印できる可能性が高いのは、ペルセポネーの珠だけって話だったわよね」
「ええ」
ペレは言ってみれば野良女神。その意味で、同じく野良女神たるペルセポネーのアーティファクトは力を持つだろう――。そう、天使イシスは教えてくれた。念のためドワーフの地下迷宮最深部でペルセポネーと冥王ハーデスを呼び出して確認してきたから、間違いはない。
「いずれにしろ、作戦は考えとかないとまずいわよね。どういう手順で、封印まで持ち込むか」
「ええ。一応、頭の中で検討してはみました。近々、パーティーのみんなから意見をもらった上で再構築し、ハイエルフのケイリューシ国王と調整しようかと。あと現場を下見しないと。……それと、ダークエルフのブラスファロン国王にも協力を仰がないといけませんし」
やることは満載だ。まあどんな業種でも、仕事なんてこんなもんだよな。俺はたまたま異世界担当なだけで。
特に、猜疑心と被害意識の強いダークエルフを説得するのが難しそうだが、なんとかなるだろ。思い悩んでも仕方ない。当たって砕けろ精神で、いの一番でアプローチしてみるわ。ダメだったらダメで戦略の練り直しが必要になるから、最初に決めときたいし。
「絶対、誰も死なない作戦にしようね」
「当然ですよ、吉野さん」
「……なら安心か」
微笑むと、吉野さんは体を倒して、また俺に抱き着いてきた。
「じゃあ、きちんと作戦を考えたご褒美しないとね……」
「その言葉を待ってたかも」
今度は俺が起き直ると、吉野さんを仰向けにした。胸を口に含み、唇と舌で刺激を与える。俺の舌の動きに従って、はち切れそうなほど、先が硬くなってきた。
「ご褒美は……嘘。本当は、私が平くんともっと仲良くしたかったから。……私の大好きな平くんと一緒に……」
胸を攻め続ける俺の頭を、やさしく撫でてくれた。
「平くん。私を好きにして……いいよ」
「了解です、吉野シニアフェロー」
腿を掴むと、脚を大きく広げさせた。
俺にガン見されて、恥ずかしそうに、吉野さんが横を向く。それでももう、電気を消して――とは言わなくなったな。
「夜はまだ長いですよ、吉野さん」
「平くんになら、なにをされてもいいよ。だって私のご主人様だもの。……さっきはちょっとびっくりしたけれど」
胸を吸っただけなのに吉野さん、もうとろとろになっている。俺は、奥の奥まで一気に突き進んだ。
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