5-12 狭い風呂場でハイエルフと洗いっこの刑
「トリムお前、なにしてんだよ」
「だって、暑いんだもん」
裸の胸を隠しもせず、あっけらかんと言い放つ。
「まあいいけど」
とりあえずいろいろ観察しておくか。妄想のネタになるし。
おうっ! エルフの胸胸とかレナが言うのわかるな。これはチラ見経験のある吉野さん以上の美乳かも。見た目ミドルティーンかって体型だから、さほど大きくはない。それでも形がきれいだし、薄紅のバストトップが柔らかそうで激そそられる。
レナの期待には悪いが、まあ俺は大きくしないけどなw
――とは言うものの、このままでは一分もたず危険がアブナイ予感がする。
「もういいや。トリムお前、まだ湯入れ始めたとこだけど風呂入れ」
「わかった」
ふわついた足取りで、あけっぱだった洗面所に向かう。途中でだらしなく下半身も脱ぎ捨ててったけどな。酔っ払うと高貴なハイエルフもくそもないな。トリムの奴。
「ほら、平も」
「ふわっ!?」
行きしなに、俺の手をひっつかむ。
「俺もか?」
「当然じゃん。誰かに体洗ってもらわないとならないし」
「自分でやれよ」
「エルフ――特にハイエルフはねえ、そんなはしたないことしないの」
「知らんがな」
「レナだと小さすぎるし、他に女子はいない。んじゃあ、ヒューマンに三助さんやってもらうしかないじゃん」
「三助とか」
そんなどえらく古い言葉、よく知ってるな。さすが歴史の長いハイエルフだけあるわ。
●
「じゃあ背中洗うぞ」
なんだかんだ言って風呂に連れ込まれた。
「早くう」
ケロヨン桶を逆さにして腰掛けたトリムが、背中で言う。
「くそっ」
使い魔と主人の関係どころか、これでは俺が奴隷ではないかw
「ほらご主人様、急かされてるよ」
ユニットバスの便器に腰掛けたレナは、にやにやしながらこっちを見ている。あーもちろん俺もレナも裸な。一応風呂だし。
「くそっ」
仕方ない。アカスリに石鹸をこすりつけると、トリムの背中を見た。すっと背筋の通った、きれいな背中だ。たるみ皆無でスレンダーだが、肌に艶があって柔らかそうな。
人の背中洗うのなんて初めてな気がする。ガキんときはあったとは思うが、記憶がぼんやりしていてわからない。
「こ、こうか」
自分で体を洗うときの感じで、アカスリで背中をこすってみた。
「痛いってば」
「痛い? 強すぎたか」
「強いとかじゃなくて、それザラザラして嫌。繊細なんだよ、あたしの肌。――手でやって」
「手で?」
「ハイエルフはいつだって――」
「あーわかったわかった」
めんどくさっ。
レナの「洗って攻撃」だってなんだかんだかわしてきたのに、なんでこうなるんだよ。泣く子とエルフにはかなわんって奴か?
手に石鹸を塗りたくると泡立てて、トリムの背中に手を置いた。
やっぱ柔らかいじゃん。俺の体と大違いだな。あとなんか知らんが体温が高い。ヒューマンより熱を持ってるのかもな。それか単に酔ってるせいかも。
「こんな感じか?」
強すぎないように、適当に手を上下に動かす。なんての、撫でる感じというか。
「そうそう。……うまいじゃない」
「うまいのか知らんがな」
「平あんた、ご主人様よりあたしの世話係のが向いてそう」
「うるさい」
ムカついたんで、強めにがさがさ動かしてやった。
「うんっ!」
「ヘンな声出すな。気持ち悪い」
「だって、男に洗ってもらったの初めてで――んっ」
いかん。なんのプレイだこれ。レナが言うとおり、敏感に反応するのかもな。
「けけっ」
レナの奴、笑ってやがる。例の笑い方で。しかも俺の下半身ガン見じゃん。まだ変化してないぞ。五分後は知らんが。くそっ。
「もういいだろ」
俺は手を離した。危険がアブナイ。
「まだ前を洗ってもらってないもん」
「はあ?」
「ほら、手を回して」
後ろ手に掴まれ、腹のあたりを触らさせられた。
「上下に、そう」
俺の手を掴んだまま、上下に動かす。
「そうそう――あっ」
胸まで導かれた。
いかん。柔らかい。しかも先が……。それに下半身がトリムの背中に当たりそうだ。
俺は手を引っ込めた。
「もう終わりだ。こっちの世界の法律ではな、自分で洗うんだ。他人に洗わせると死刑だ」
自分でもなに言ってるのかわからん。
「ちぇーっ、ケチ」
「そもそも俺はお前の使い手だぞ」
「そうだね。……じゃあ使い魔として、今度はあたしが洗ってあげる」
「死刑になるって言っただ――」
「いいからいいから」
くるっと体を回してきたんで、反射的に俺は背中を向けた。危うく「アレ」な下半身見られるところだったからなw
「なんだ素直じゃん」
「違うっての」
「じゃあ背中洗うね」
なんだか熱くて柔らかなものが、俺の背中を上下した。トリムの手だろう。
「ご主人様、さっきの強がりどうしたの」
今はもう堂々と俺の真ん前に浮かんでいるレナが、俺(の一部)を見ている。
「そうかあ。ご主人様の準備万端、初めてリアルで見たけど、こんな形なのかあ……。けけっ」
「見るな」
「ガンガン反り返ってるじゃん」
「うるさい」
「これはボクのレベルアップが楽しみかも。がんばって早く服脱げるレベルまでなるねっ、ご主人様」
「黙れ」
「してもらうのが待ち遠しいよ。あーもう、我慢できない。今、触ってもいい?」
「禁止だ――ってうわっ」
脇からトリムの手が回ってきて、俺は飛び上がった。
「なにすんだよ」
「背中終わったら、前でしょ」
腹から胸にかけて撫で回される。くっついてきたんで、背中にトリムの胸、当たってるし。石鹸の泡でつるつるする柔らかな肌が、俺の背中を上下してる。なんか一部分硬くなってるし。
「おうっ!?」
トリムの手が下に降りてきて、俺の謎棒に触れた。
「なにこれ、硬っ」
先を撫で回してきて。
「それに熱い」
「はい終わりーっ」
トリムの手を振りほどいた。
「先に入るぞ」
体を流しもせず、俺は湯船に飛び込んだ。まだ湯は半分くらいだが、知ったこっちゃない。
「なんだ。まだ半分しか洗ってないのに」
トリムは立ち上がった。まだ少し酔いが残ってるのか、ほのかに顔が赤い。
「まあいいや。あたしも入るね」
止める間もなく入ってくると、俺に背中を押し付けてきた。
「わあ。この泉、せまーい」
「狭くて悪かったな。俺様の豪邸だぞ」
「背中になんか当たってる。熱っ! もしかして、これさっきの――」
「ボクも入るね」
飛び込んできたレナが、俺とトリムの間に入ってきた。トリムの背中を押して。おかげで謎棒アタックが消えた。
「ねっご主人様。ボクがいて助かったでしょ」
「ま、まあな」
「面白かったけど、このままだとボクの予約順が今晩抜かされちゃいそうだったからさ」
「まあなんでもいい。とにかく早く風呂上がろう」
「へへっ。ボクにもご褒美ほしいなっと」
湯に潜ると、レナは俺の体をまさぐり始めた。主に例のアレを。
まあいいか。
幸い、レナはちっこい。いじられてもさっきのトリムのようなヤバい感じにはならない。自分で洗ってるようなもんだ。少しくらい触らせてやっても、害はないだろう。
これが吉野さんが触ってくれてるとか想像しちゃうと、多分最後までいっちゃいそうだがなw
「にしてもなあ……」
さきっぽをくすぐられるようなヘンな感覚に耐えながら、俺は考えた。なんかレナに徐々にうまいこと調教されてるような気が、しないこともない。低レベルでも、さすがサキュバスというか。エロの戦略家というか。
まあ、それは考えないことにした。今後あれこれの沼にハマると思うと、うれしいのか怖いのかわからなくなるからな。
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