ドラゴンは何を食べるか
飛行するモンスターのなかで、現実世界に存在しているものがモチーフになっているモンスターといえばなんでしょうか。
虫系統のモンスターを除くと、コウモリやワシなどをよく見ますが、種類としては意外と少ないように思えます。もっとファンタジー色を強くすると、ペガサス、グリフォン、ワイバーン、キメラの一種、そしてドラゴンなどが挙げられるでしょう。
このドラゴンやワイバーンといった大型飛行生物の生態はよく問題にされます。
現実世界には猛禽類やペリカンなどが大型飛行生物として存在してますが、大きいとは言っても、物語で描写されるドラゴンと比べれば象と蟻のようなものです。
イカやサメ、クジラなどの大型生物が実際にいる海と比べて、空中には大きな生物がいません。飛行する以上、大きいと生物として不都合がでてくるので存在できないのです。
そういった特性が前提としてある以上、ファンタジー世界にて飛行生物が詳しく語られる際には、新たに設定が必要になってきます。小説によりますが、飛行魔法を使用している、存在自体が世界の法則から切り離されているといった設定が付与されているドラゴンを見かけます。
これらは移動や食事などといった面倒な問題を一手に片付ける優秀な手段です。さらにそれをもう一歩踏み込んで戦闘描写に利用していることもあり、感心するばかりです。
・大型生物の狩り
さて、ここで何を書くのかといえば、彼等の餌が何かということです。
食料をどこから持ってくるかという問題は、集団を見る際には基本的な項目です。勿論世界の法則から外れた存在であれば、食事の必要はないとすることもあるでしょう。魔力がエネルギー源となっている設定もあります。
とはいえドラゴンに乗る騎士がドラゴンに餌をやる描写や、ワイバーンに牛などの家畜が攫われる場面にはよく出会います。現実世界と同様、エネルギーを他の生物を捕食することで補っているという事です。
ドラゴンが人間社会から餌を調達しないのなら、どのように食料を得るのでしょうか。
現実世界では陸上なら猛禽類や食肉類が、海洋ならばシャチやクジラなどが食物連鎖の頂点に存在しています。大型であればあるほど上位の捕食者として君臨するのです。
当然ファンタジー世界では、ドラゴンを頂点としたピラミッドが形成されることでしょう。
ドラゴンはクジラがオキアミを海水ごと飲み込むのを見ればわかる通り、無限に等しい食欲を持っていることでしょう。巨体を動かすには相応のエネルギーが必要です。効率よく、大量に狩る必要があります。
そうすると現実世界で存在するような生物は駆逐されてしまいそうです。勿論餌の量に比例して個体数は増減するものですから、自然と調和は取れていくのでしょうが、物語に登場するドラゴンは種類も個体数も多数と表現されることはあります。
ドラゴンでなくとも、ワイバーンでもグリフォンでも、とにかく大型飛行生物は一定の数がいます。
・中間生物の必要性
大きな生物は一度の狩りで、大きな成果を獲得しなければなりません。行動するだけで大量のエネルギーを消費するからです。狩りに必要なエネルギーが狩りで得られるエネルギーを上回る生物は生きていけません。であるなら、丁度良いサイズの生物が必要となります。
クジラのように小魚やエビを一網打尽にして食事をとることが想像しがたい以上、同種族の中で何段階か用意する必要があるかもしれません。もしくはシャチやシロクマに捕食されるアザラシのような存在が必要です。
そう考えていくと大型ドラゴンの下には中型、小型がいることが予想されます。小型のドラゴンはゴブリンを始めとした、数の多い小型モンスターを捕食しているのかもしれません。
植物や魔力、昆虫と言った比較的容易に手に入る食糧をもとに個体数を増やす、小型のドラゴンを底辺とした独特のピラミッドを形成していることでしょう。
魔力を維持するために、魔力を多く持った生物しか襲わないのであれば、モンスター同士の食物連鎖も説得力を持ちそうです。
空中に大型生物が登場する場合、彼等はファンタジー世界のモンスターだけで構成された独自のサイクルを持っている可能性があります。
そうなると人間の生活圏に降りてくるには相当な理由が必要になるかもしれませんが、人間のように現実世界と同じような生態を持つ生物が駆逐されてしまうということはないでしょう。
餌となるモンスターがいれば、鹿やウサギなどの現実世界の生物を登場させることはできそうです。
現実の世界では、大半の大型の肉食生物は、人間に討伐され、絶滅したか非常に数を減らした状態となっています。狼やクジラになぞらえてドラゴンを見てみると、人間の技術力が上がった将来、過酷な状況が待ち構えているように思えます。
現実世界では科学の力によってドラゴンの存在は否定されてしまいましたが、ファンタジー世界でも危うい存在なのではないでしょうか。
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