第6話 花見②

「はぁーーーーーーーーー! もう優牙くん!! 私、寿命1ケ月縮まるかと思った〜。」

「何で、あんな大きい声で叫んだんだよ! 僕、そんな叫ぶようなこと言ったか!?」

「じゃあ、もしかして優牙くんは、花よりも食べ物を選ぶタイプ?」

「うん。そうだけど。 それと、叫んだ理由、関係あるのかよ?」

「私は、ご飯よりも、お花を見て楽しむタイプなの。

私、親としか花見に来たことがないから。親も私も花を見ることを楽しむタイプだから、びっくりして。『えー』って叫んじゃったの」

「……そうなんだ。なんかごめん、強い言い方して」

なんか今の話を聞いて、すごく俺が悪いと思った。

かぐやは、親と出かけるほど仲が良いし、家族も大切にしてる。

ましてや花見本来の楽しみを感じてる。それを感じてない僕がバカバカしかった。

「全然大丈夫だよ、優牙くん。ほら、せっかく来たんだし、屋台とか桜見よう!」

かぐやは、桜の花びらが舞う一本道を楽しそうに歩いていた。

なんか、その様子を見てるとかさっきのムカムカが消えていった気がした。

「ねぇ、かぐや」

桜の花びらを拾っていたかぐやは、僕の声に気づいて振り向いた。

「何? 優牙くん」

花びらを持って小首を傾げるかぐやの仕草が幼稚園児みたいで、なんだか急に笑いが止まらなくなった。

「えっ!? 優牙くん!? どうしたの急に笑いだし」

「ははははははははははは!ううん、なんでもないよ。」

「ならいいけど…。」

かぐやは、桜の花びらの道を歩いていた。

それは、おとぎ話のかぐや姫みたいで、なんか人と変わってて…。

でも、まっすぐ素直で、本当のかぐや姫だなって。

「優牙くん! 私、りんご飴食べたい!

あ、あとお母さんとお父さんにも買ってあげなきゃ…。

まあ、いいや。お母さんとお父さんは後にして、自分の買おう!」

「いいよ、かぐや。りんご飴ならおごろっか?」

「えっ!! いいの!? やったー!

よし! そうと決まれば、りんご飴の屋台のとこ行こう!」

僕は、はしゃぐかぐやを少し抑えつつ、元来た道を戻った。

1~2軒分歩いたらすぐのところに、あった!

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余命6ヶ月のかぐや姫 小野町 咲楽 @2525sakura

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