喫煙歴と禁煙歴、それぞれ10年を経た男が煙草について語る

10年の喫煙生活を経て10年の禁煙生活を送っている著者さんが、吸っていた過去と吸わなくなった今とを語るエッセイです。

禁煙化の進みゆく日本ですが、その中で吸っていた人が吸わなくなってからのことを語ってくださっているのがおもしろいところです。

テーマが煙草だけに、内容としては耳障りのいい話ばかりじゃありません。でも、こんなふうに冷静な目で煙草というものを説ける人は少ないものですし、しかもご自身というネタ元を通していればこその説得力があるんですよね。著者さんが積んでこられた10+10の20年そのものが、ひとつのドラマとして、さらにはひとつのドキュメンタリーとして成立しているわけです。

「なぜ煙草を吸うのか?」、「煙草がなにをもたらすのか?」、そして「煙草を辞めたことでなにがもたらされたのか?」を綴る一連の体験談、読み物としても、煙草を巡るひとつの考察としても、一読の価値ありありですよ。

(「魅せる人間ドラマ!」4選/文=髙橋 剛)