悪霊退治はゲンコツで

 一時期連載を中断していた変身ヒロイン物の作品。このたびついに完結。タイトルに「忍」の文字が入っている通り主人公は忍者の家系の娘さんなのですが、あまり忍者要素は無いなと感じました。現代だとプ○キュア。さらに前だとセー○ームーン。そういう作品に近いと思います。

 ネタバレになるため人数は書きませんが、変身ヒロインは複数いて、それぞれの戦い方に性格が反映され、個性を感じられます。そうでないと一緒に戦う意味がありませんしね。

 敵は一貫して一人の男なのですが、長年野望を追いかけてきた悪霊であり、他人の体に取り憑いたり、邪な考えを吹き込み操ってけしかけてきたりします。そのため敵側も意外にバラエティ豊か。柚木さんは悪役の描写がとても上手く、毎回本当に憎たらしい敵を書くのですが、本作でもその手腕は遺憾なく発揮されていました。

 全66話となっていますが、文字数は11万4千字なので、ちょうど単行本一冊分くらい。その中で複数話に区切られており、テンポが良く読みやすい作品です。
 普段は時代小説メインの方だからなのか、作品の雰囲気にも文章にも独特の味があり、それもまた楽しめました。変身ヒロイン物がお好きで、さっくり読める軽妙な作品を探しているのでしたらオススメします。