恋愛パルス

@raito2000

第1話 始まり

辺りには桜が満開だった。けれど、それ以外はいつもと変わらない周りの風景。いつも通りの時間に起きて、朝食を食べて歯磨きして学校に行く。そんな日々に飽き飽きだった。けれど、そんな日も、もう終わり。

なぜなら今日から高校に通うのだから。

「おっはよー!」

後ろから聞き慣れた声が聞こえた。

「おはよ。てか相変わらず元気だな…。」

「私こそ、なんでそこまで朝からだるそうなのか謎だよー。」

「朝だからに決まってるだろ…。」

「あはは!」といつも通りの甲高い声で笑う。

っと、そろそろこの辺でこいつの紹介。

こいつは、今井アリサ。

金髪のロングにストレート、色白な肌、顔も比較的整っていて、身長も普通くらいかな?

名前と、見た目からして俺はハーフだと思っているが本人曰く違うらしい。金髪なのに違うって言い張っているが、無理があると俺は思う。

幼稚園からの幼馴染で、小、中と同じ学校。

そして、幼馴染だからなのか俺にベタベタしてくる。正直なところベタベタしないでほしい…。なぜなのかは、ご想像にお任せする。

「ところでさー、クラスどうなるか気にならない?」

何気ない表情で俺に聞いてきた。

「別に。」

「ちぇ、おもしろくないのー。」

そう言って、そっぽ向いた。

そういえばまだ、俺の自己紹介がまだだった。

俺は鈴木拓哉(すすぎたくや)。もちろんだが、高校1年生。

天然パーマの髪の毛が特徴なだけで、それ以外は普通のありきたりな男子。

運動はそこそこで、学力も普通くらい。

まぁ、天然パーマなところ以外は、普通の男子って感じだな。

自分で言うのもなんだが、地味すぎなんだよな…。

そのあとは、ほんとにどうでもいい話をして学校に向かった。

ほんとにどうでもいい話だぞ。気にしたらダメだ。…ほんとに。

「ついたー!」

「そうだな。そんなの見ればわかるけど」

「うわ!冷たっ!それだからモテないんだよー」

「それはまた別の問題なんじゃないか?」

「そんなことないよ!そういうところも女子っていうのはちゃんと見てるもんなんだから」

「ふぅ〜ん」

気の抜けた返事をしてクラスが書いてある紙に向かった。

アリサはというと、とっくに向かっているが。

ったく。元気すぎだろ…。

紙を見て俺はよりテンションが下がった。

よりにもよってアリサといっしょだからである。

「「いっしょなのは登下校の時だけにしてくれよ…。」」

なんてことを心の中で思っていた。

横でこいつは紙を見ながらニコニコしてた。

何が、そんなに楽しいんだか。

「いっしょのクラスだね!」

俺の方を向いて言ってきた。

「おう、そうだな〜」

俺は紙を見ながらそう言った。

そして、俺たちは、教室へと向かった。

ちなみにクラスはというと1年2組だった。

教室に入るなり、俺は嫌な気分にあった。

クラスの男子どもが俺に鋭い視線を向けてきたからだ。…こいつといるだけでいつもこうなる。それは小学校の時もおんなじだった。中学の時もそうだった。そのせいで俺は少しだけ男子からいじめを受けていた。…すぐなくなったけど。高校でも同じだなんて、俺ってほんと悪運強いよな〜。

入学式まではまだ時間があった。その間俺は寝て、アリサはというとなんだがソワソワしてた。

楽しみでしかたないんだろう。高校なんて面倒でしかないのに。十数分経って廊下に並ばされた。

体育館に向かう途中でも、男子からは鋭い視線を向けられている。

俺なんもしてないだろ…。

と、思っているなか入学式が始まった。

代表の言葉だの、生徒会長の言葉だの、校長の話だの、イスに座ったり、立ったりして入学式をやっていた。

入学式も終わり教室へは並んで戻る。

面倒なこと、この上ない。

そのあとは、先生の紹介だの、学校の説明だの、聞いていて気づけば終わりの時間になっていた。

休み時間では、早速みんなは仲良い同士でワイワイ騒いでいる。

アリサは、女子達と騒いでいた。

俺はというと、ひとりの男子に睨まれている。

いつまで経ってもやめない。このままでも困るからさすがに声をかけてやった。

「なあ、いつまで睨んでるつもりだ?」

「ようやっと、こっちを見たか!」

上から目線でしゃべってるこいつは、

風野 勇(ふうや いさむ)

…俗に言うイケメンってやつだ。

まあ、見た目からして。どうでもいいけど。

故に俺と絶対につるむことのないやつなんだろうけど、

小学校のときからこいつは、なぜか俺につっかかってくる。理由を聞いても、曖昧な答えしか返さない。よくわからないやつだ。

「中学でも、続けて、高校でも続ける気か?」

「ふっ!僕はまだ君に負けていないからね」

「だから、なんのことだよ」

こんな会話を小学校の時も中学の時もしてた気がする。

こいつ暇なのかな。暇なんだろうな。

「おーい!学校でも寝てるの?」

「どこで寝ようと俺の勝手だろ」

俺たちの話を遮って、アリサが横から入ってきた。

「やあ。アリサは拓哉にいつもそんな感じだよね」

すかさず、声を掛ける。こういうところがモテるのか?よくわからないな。

「あったりまえじゃん。だって告白されて付き合ってるからね」

アリサがとんでもないこと言い放った。

「なっ!?」

「はっ!?」

「えぇぇっ!?」

俺と勇を含めた男子全員がその言動に反応した。

「ちょっと待て!俺ら付き合ってなんかしてな…」

「おい!拓哉、アリサと付き合ってるって本当なのかい!?」

「俺らは付き合ってなんかないぞ!」

そして、俺は勇に疑いまでかけられてしまった…。

「拓哉たちが、もう付き合ってるだなんて…」

勇がそんなことを言い始めた。

もう収集がつかない。

「だぁぁぁ!俺は告白なんかしてないし、付き合ってもねぇ!」

「「「え?」」」

その場にいた俺とアリサ以外全員が同じ反応をした。

「アリサ、お前冗談の域超えてんだよ…」

「あはは!ごめん、ごめん。まさかこんなになるなんて思ってもなかったからさ」

「はぁ。まじで、次からやめてくれ」

「わかった、わかった」

俺たちの会話を聞いて全員が、はっ!といったような感じで動いた。そして真っ先にアリサの方へ向かっていく。

付き合ってないってほんと!?」

ひとりの男子がそう声をあげた。

「そうだよー」

何気ない表情でそう言った。

「はぁ〜」

男子どもからため息が出た。

ため息つきたいのはこっちだってのに。

「少し取り乱したが、冗談だったとはね」

勇もこんな調子だ。"少し"ではないとは思うが…。

黙っておいたほうが得策だろう。

なんてことがあって、休み時間は終わった。

その後のことは寝てたので記憶にない。

気づいたらもうみんな帰ろうとしてたところだった。てなわけで、帰りの支度して帰ろうとした時に…。

「平井拓哉君、居眠りのことでお話があります。

至急職員室まで来なさい」

なんてことを担任から言われた。

初日からついてねぇな…。

そのあと、職員室行ってねちねち説教くらった後、

帰ろうと職員室の扉を開けてたら扉の横にアリサがいた。

「あ、終わったんだね、説教」

「わざわざ言うな。てか、ずっと待ってたのか?」

「うん、そうだよ」

なんともないような顔でそういうことをいう。

だから、罪悪感を余計に感じるんだ。

でも、本人は自覚してない。そりゃ、そうか。

「ごめんな、待たせちゃって…」

「いいよ!謝んなくても!好きで待ってたんだから」

慌てて言った。

「ここにいても意味ないし、さっさと帰ろうぜ」

「そうだねー」

俺たちは職員室をあとにして学校を出た。

あとは帰れば家でゆっくりできるはずだったんだけどな…。

「…なんで俺ん家にお前がいるんだ」

「いいじゃん!拓哉君の家にいてもさー」

帰り道で別れたあと、すぐに俺の家に来やがった。

俺のゆっくりする時間は…?

どこまで、俺の近くにいるつもりだよ。

そりゃあね、幼馴染ってことで親しみやすいのかもしれないよ。だけどね、ここまで一緒にいなくても良くない!?

「にしても相変わらずのオタク部屋だよねー」

「自分の部屋をどうしようとここは俺の部屋だ。

誰にも文句は言わせない!」

「はいはい、拓哉君はこの部屋でいいのかもしれないけど、他の人たちからしてみればかなりキモいかもよ」

そう。俺は俗にいう隠れオタクというやつである。このことを知っているのはごく一部の人たちだけだ。もちろん、アリサもこのことは知っている。

「こんな部屋でも、落ち着けるんだから不思議だよねー」

「おい、今"こんな部屋"って言わなかったか?」

「言ってない、言ってない!」

地味にひどいことを言ってくるからこいつは…。

まあ、普通の人からしてみればそんな印象なのか。考えてみたら、当たり前っちゃ当たり前か。

「ねえねえ、今日はなにをするのー?」

「いや、とくに何も考えてない。」

「じゃあじゃあ、ゲームしようよ!」

「…また、あのゲームか?」

「何その言い方!別に楽しいからいいじゃん!」

「…」

俺はテンションが下がり、アリサのテンションは上がっている。

その理由は、ゲームの内容によるもの。

アリサは、ス○ブラが大の得意である。

対する俺は、全然得意な訳がなくむしろ下手だ。

つまり俺は、毎度のごとくボコボコにされ、

おそらく今回もボコボコにされるのがオチだろう。

全く、嫌ならやらなきゃいいのにな。

…そういやなんで俺このゲームいやなのに、

アリサといつもやってるんだろう?

まあ、いいか。

「はあ、また俺はボコボコにされるのか?」

「それがいやなら、私に勝ってみよ!」

「なんだ、それ…。まあ、いい!

勝ってやるさ!!」

「ふふん!私に勝てるかなー?」

…と言う会話を交わして約1時間が経過した頃、俺は全敗、アリサは全勝という結果になった。もちろん俺はめげずに何度も挑んだよ?でもな、勝てたわけがなくボコボコにされたよ。結局俺は、心が折れゲームを、

やめた。…本当にいやになったからね!?

この苦しみを、ぜひ味わってほしいものだ。

「結局やめちゃうんだ。つまんないのー」

「もう、疲れたんだ。やりたいなら後は1人でやってくれ…」

「しょーがない…。じゃ、CPUボッコボコにしてやりますか!」

「ほんと、すごいなお前…」

俺は、別作業に。アリサは、ゲームとそれぞれ別のことをした。

中学校の頃とも、小学校の頃とも、変わらないこの感じ。俺の高校生活が始まったところで

何か大きな変化があるわけじゃないけど…。

けど、今の俺に大きな変化なんて必要ないんだ。だから、これでいい。いつもと変わらないこの風景でいい。

そこで、…いいや

だから、俺はここに宣言する。

俺の高校生活が始まる!

そして、無事に卒業してやる!


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