評価する立場
「うぉらあああ!!! ぜあああッ!!!! ぬぅありゃぁああああッ!!!!!」
「良いんじゃ、ねぇの? ちょっと、大雑把だけど、そこはまぁ、鬼人族らしいって、ところか」
ん~~~……完全に妹の成長を確認する兄って感じだな。
フィーマって鬼人族の女性ハンターも弱くはないし、現在の年齢を考えれば強い方なんだろうけど……やっぱり想像は越えてこないって感じか。
「そろそろ終わりでしょうか」
「それなりにアビリティの技と、鬼火も使ってるし……もう手札はないだろうな」
これ以上付き合う必要はないんじゃないかと思っていると、ラストも同じ判断をしたらしく、懐に入って重い重い拳を叩き込んだ。
「ごはっ!!!??? ッ、ァァァアアアア!!!!!」
「その根性は、立派だな」
「あっ!!?? っ!!!」
腹に重拳を数回叩き込んで、最後に起き上がろうとした足を刈ってダメ押し。
完全決着だな。
「っし、ラガスさん! 終わったぞ~~~!!!」
「みたいだな。お疲れさん」
「まッ……ッ!!!!!!!!」
へ~~~~……優秀だけど一直線な感情が強いと思ってたけど、ちゃんと自分の負けを認められるメンタル的な強さもあるんだな。
「んじゃ、第二回戦といこうか。次は誰と誰が戦る?」
「こちらは私が行きましょう」
こっちはメリルが出陣と。
向こうは誰が出てくる?
虎人族の青年から、それとも人族の青年か……もしくはエルフの女性か。
まぁ、誰かが相手でも結果は変わらないだろうけど。
「では、私が行きましょう」
「決まったな。それじゃあ、常識の範囲内で戦ってくれ」
毒を扱うメイド対、エルフの典型的な弓を使った戦闘スタイルの女性……名前はファールナだったか?
多分だけど、自分の方が有利だと思ってそうだな~~。
「なんか、お互いに様子見って感じっすけど、多分向こう……ちょっと油断してるっすよね」
「おっ、やっぱりシュラもそう思うか」
「うっす。なんつ~か、表情から余裕って言うか、自信が漂ってる感じがするっす」
自信……そうか。
そう考えると、ファールナは別に油断しているとは言わない、か?
自信があるから、それが顔に表れてるだけだし……自信があるのは別に悪いことじゃないしな。
「メリル相手にあんな油断してちゃなぁ…………とんでもない奥の手がない限り、問題無くメリルが勝ちそうっすね」
「……ふふ。お前の戦いを観てる時、メリルも同じようなことを言ってたぞ。シュラが力と力のぶつかり合いで負けることはあり得ない……的なことをな」
「マジっすか?」
「マジマジ」
信じられねぇって顔してるな~~~……それは、今メリルと戦ってるファールナも同じみたいだな。
「くっ!! あなた、本当に人族の、メイドなのですか!!??」
「ラガス坊ちゃまに仕える、正真正銘人族のメイドです。どうやら、自身の健脚に自信があるようですが、私もラガス坊ちゃまに付き合って、野山は良く走り回っていました」
ファールナの弓の精度はそこそこ凄い。
どれだけ速く動いても、全てメリルの体に向けて放たれていた。
途中で曲芸? って思う様なトリックショットも放つ。
弓が意味をなさない距離まで詰められたら、短剣に風の魔力を纏って対抗するのも悪くない。
けど……メリルからすれば、俺の劣化版に見てるってところか?
「弓の腕、短剣技の腕も、悪くありませんね。距離を詰められたら危うい遠距離タイプの弱点を良く補えている。短剣技の腕も……二流には届くでしょう」
「ッ!!! 随分と、上から目線で語る、のですねッ!!!!!!」
「当然でしょう。私たちは、あなた達のマスターから、あなた達を守るように頼まれたのです。こういった模擬戦の場で、あなた達の実力を評価するのは、至極当然のことでしょう」
メリル、もしかしなくても、ちょっとイラついてるかもな。
まだハンター歴がそこまで長くないってのを考えると、弓と短剣技の腕もそれなりに高いのになぁ……でも、それぐらいだとまだまだ死ぬ可能性があるから、エスエールさんが俺たちに依頼したんだよな。
ほんと、未開拓の地は恐ろしいね~。
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