内心……
「お疲れ様、セルシア」
「…………」
「どうした?」
「強かっ、た。今までの、戦い、で、一番怖かった、かも」
……はっはっは!! あっさり勝ったように見えたけど、しっかり恐怖は感じてたみたいだな。
まぁ……それでも、紫電崩牙を使わずにBランクモンスターのトロールを一人で倒してしまったんだ……間違いなく快挙だな。
「お疲れ様です。とても動きがキレていましたね」
「最後の雷ぶっぱはナイス判断だったっすね!」
「ワゥ!!」
「ありが、とう」
予想通り、肉や内臓はアウトだったけど、骨や魔核は無事だった。
「ふぅ、終わった終わった…………」
「悩ましい表情ですね、ラガス坊ちゃま」
「運良くトロールと遭遇出来たんだ。このまま巣? を見つけて倒そうと思ったんだが……ちょっと時間がな」
遭遇したトロールを見つけたからといって、直ぐに見つかる訳ではない。
なるべく戦闘が夜に差し掛かるのは避けたい。
セルシアたちが賛成してくれたこともあり、この日の狩りは終了。
ハンターギルドにトロールの討伐は伝えなかった。
どうせあいつらがまた絡んでくるのは目に見えてくるからな。
今度は……どうせお前たちがトロールを倒せたのは、従魔がいたからだ!!!! っていちゃもん付けてきそうだ。
「雨が降らなくて良かった」
翌日、ハンターギルドに寄って依頼を受けず、今日は直で森へ向かう。
そして先日、トロールと戦闘を行った場所へ向かい、匂いを辿って巣を探す。
戦闘を行った場所をルーフェイスが覚えていてくれたため、途中まではスムーズに進んだ。
ただ……途中、先日と同じく体に多くの傷があるオーガの集団と遭遇。
もしかしたら、目的は俺たちと同じなのかもしれない。
だったら争う必要はないのかもしれないが、向こうが俺たちの言葉を理解出来ず……そもそも問答無用でオーガたちの方から襲い掛かってきた。
「準備運動にはなったな」
「そうですね。ですが、これでトロールとオーガが対立してるのは確定ですね」
「オーガとトロールのバトルか……はは、面白れぇな」
確かにモンスター同士の対立、バトルは面白いかもな。
ただ、戦力的には基本的にオーガの方が不利だ。
個人的には……オーガの数に対抗できる程、トロールの数が多くないことを願う。
弱きになってるとかじゃないが、仮にそこまで数が多いと、俺たちが倒すまでの被害が怖い。
「っ……ラガス、あれ」
「ん? どうし……ちっ! 勘の良い奴らだな」
セルシアが指さす方向には、以前絡んで来た面倒なルーキーたちと、それなりに戦える鬼人族の青年がいた。
獣人族がいるな。うちと同じ方法でトロールの巣を探したのか?
……既に忠告はしてるんだ。仏じゃねぇんだし、する必要はねぇな。
「ルーフェイス。なるべくあいつらと遭遇しねぇように探れるか?」
「ワゥ」
「面倒な注文して悪いな」
この後、ルーフェイスは本当にあいつらとすれ違わない様に匂いを辿っていき、それらしき場所まで案内を遂行。
「ここか……よし、あのバカたちが到着する前に終わらせるぞ」
「「「了解」」」
「ワゥ!!」
地中に続く空間へ進むと……広い空間に、ファイルトロールが一体とトロールが六体。
ファイルトロールが二体の群れじゃなかったんだな。
ノールスを治める領主からすれば、有難い情報だろうな。
ただ……トロールが六体ってのは、改めて群れをつくっていると予想出来ていても、ちょっと信じがたい光景だな。
「ラガス坊ちゃま、トロールは私たちが相手をします」
シュラとセルシア、ルーフェイスの顔をチラッと見たいが、どうやら今回は俺に譲ってくれるらしい。
有難いことだけど……あんまり楽しんでたら、鬱陶しい邪魔が入る。
あまり遊び過ぎないように、ギアは最初から上げた方が良いな。
「ガァアアアアアアアアアアッ!!!!」
「崩れるかもしれねぇから、あんまり吼えないでくれ!!!!」
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