躊躇えよ

三本角オーガジェネラルの一件で貰った火属性の大剣を亜空間から取り出し、ファイルトロールが扱う大剣に対抗する。

向こうが持つ大剣もただの大剣ではなく、地属性の大剣っぽいな。

ランクも……俺が貰った大剣と変わらないかな。


「ガァアアアッ!!!」


「ふんっ!!!!」


強化系のアビリティは最初から使ってる。

魔力も纏ってるんだが……これじゃぁ、パワーは向こうが上だな!!


「フッ」


「この野郎、一回吹っ飛ばしたぐらいで、そんな得意気な顔してんじゃ、ねぇよ!!!」


スピードを活かせばもっと上手く戦える。

それは確信に近いが、別の土俵では戦わない。


後でメリルから小言を食らうだろうけど、パワーでやられたら、パワーでやり返す!!!!


「ぅおらあああッ!!!」


「ッ!!??」


魔力を纏うだけじゃだめなら、魔闘気を纏って更に強化。


まっ、今回の打ち負かしは猫騙しに近いけど、やり返したことにかわりはねぇ。


「グゥアアアアアアッ!!!!」


「おらああああッ!!!!」


というか、思ってた以上に、大剣の扱い……戦い方が上手めぇ!

パワーだけのモンスターだと思ってたら、パワー以外の部分で、殺られる、だろうな!


これだけ本人が戦えて、五体以上のトロールを従えてたら、中堅以上のハンターを殺すのも、難しくない、だろうな。


ただ単に他の武器よりも、強いからって理由で、土属性の大剣を使っている訳では、ない。

しっかりと、その特性を生かして、戦いやがる。

このファイルトロールと、部下のトロールが、人の街を攻めようとしたらと、考えると……うん、超恐ろしい、な!!


「…………」


「どうした、終わりか?」


まぁ、俺としてはファイルトロールとガチバトルが出来て、超楽しい。

楽しみ過ぎるのはこいつらに殺されたハンターたちに悪いとは思うが、ここまで戦える強敵と遭遇するのは、久しぶりだ。


「ッ!!!!!」


「うぉっ!!??」


なんだ、この闘気の練度……さっきまで纏っていた魔力を解いて、闘気だけを纏うってことは……そういうことだよな!!!!


一瞬で距離を詰め、先程よりも速い剛剣が振るわれる。

かなりギリギリで回避に成功したが、地面が綺麗に切断されてるのを見ると……いやはや恐ろしい。


この感じ、闘気の練度に、関してはおそらく、俺よりも上、かな!!


今ちょっと見えないけど、多分シュラが羨ましそうにこっちの戦いを見てるのは解る。

シュラにとっては、大好物過ぎる相手だろうな!


「フンッ!!!!!」


「上手いなおい!!!」


上段の構えから俺をぶった斬るふりをして、大剣を地面に付き刺して岩槍を地面から連続で生やしやがった。


「お返しだッ!!!!」


同じく大剣でぶった斬るふりをして、地面に付き刺して火槍を連続で生やし、いやがらせ攻撃を放つ。


「ッ、ガァアアアアアアッ!!!!!」


「嘘だろ!!??」


ちょっとは躊躇しろよこの野郎!!!!

お構いなしに、突っ込んで来やがった!!


「ッ!!!! と、はぁ~~~~、あぶねぇ~~」


反射的に大剣へ魔闘気をを集中させといて良かったな。

咄嗟にそれが出来てなかったら、多分衝撃波が大剣を越えて体に届いてた。


「ラガス坊ちゃま、そろそろ時間を気にしてください!!!!」


「っ!? 分かった!!」


くそっ!!! もうそんな時間かよ。

三本角のオーガジェネラルには及ばないものの、戦闘技術はこっちの方が上だったから、もっと戦いたかったんだけどな~~~……変に命知らずな奴らに邪魔されたくないし、仕方ないか。


「おらっ!!!!!」


「ガっ!?」


その闘気の練度には驚かされたが、獣魔法のコングアームを使って腕力を強化すれば……いや、これでもギリギリだな。

割と急いで終わらせよう。


「悪いな、ファイルトロール」


ラビットフットを使い、急加速。

斬り合いを拒否し、全力で殺しにいく。

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