久しぶりに疲労を感じる

「……あの、昨日いた騎士の方は?」


「昨日、ちょっと呑み過ぎてな。一応もう動けるっちゃ動けるんだが、ラガスの相手を出来るかって言うと、ちょっと不安な状態でな」


「そ、そうなんですね」


へぇ~~、二日酔い状態なんだ。

パッと見、誠実そうというか真面目というか……あんまり酒を吞み過ぎて潰れるイメージがなかったんだけどな。


まっ、人は見かけによらないってことだよな。


「その代わり、あいつに負けず劣らずの奴を連れてきたから、安心してくれ」


「君の活躍は全て聞かせてもらっている。今日からよろしく」


「どうも、よろしくお願いします」


昨日の人と同じく、新人の騎士……なのかな?

でも、代わりに来た人の方が、力強さを感じる。


技術よりパワータイプってことか?


「では、まず俺からだな」


「お願いします!!」


大剣……バスターソードを使うタイプ。

技術よりパワーよりという印象は間違っていなかった。


当然と言えば当然なのかもしれないけど、シュラより力強い。


勿論今回のバトルも三つの魔法、魔弾のアビリティを使わずに戦う。


その結果……かなり良い勝負は出来たと思ったが、負けてしまった。


「参りました」


「……騎士団に入らないのが、心底惜しいと感じるよ」


「そう言ってもらえると、光栄です」


本当に、強い人からそう言ってもらえるのは嬉しい。

でも、今更進路を変える気はないんでね。


「よっしゃ! 次は俺だな」


ワイルドな槍使いさん、熟練の騎士さんとも戦い続け……やっぱり負け数の方が多い結果となる。


割と動きを読めるようになってきたと思うんだけど、それは向こうも同じ。

ここでカウンターを入れよう! って考えを読まれて、カウンター返しを食らってしまう。


もし実戦なら、って考えると危ない状況だよな。


勝って負けて繰り返し、夕食の時間。

減りに減った腹を満たすために昼飯の時以上に食べる。


そんで、疲れを癒す風呂タイムが待ってる。


学園にある大浴場も綺麗と言うか豪華だけど、ここの大浴場は更にグレートが上。


「はぁ~~~、癒される~~~」


「ラガスさん、ちょっとおっさん臭いですよ」


「別にそれでも良いよ」


反論する気力がないというか、本当に良い脱力状態。


てか、前世の歳を合わせると大体三十か?

うん、もう十分おっさんだな。


「なぁ、ラガス」


「どうした、リーベ」


「午後はどんな訓練をしてるんだ」


午後からは別の訓練場で動いているので、リーベたちが俺の訓練内容を知らないのは当然。


隠すことではないので、どういった訓練を行っているのか説明。

すると、シュラ以外の全員が驚いた顔になった。


「凄まじい訓練内容だな」


現役騎士の中でも有名どころとの訓練って考えると、そういう反応が妥当か。


「ラガスは、あまり緊張とかはなさそうだな」


「いや、最初は緊張したぞ」


スレイド、俺だってそういう状況だと多少は緊張するぞ。


でも、多分強さ的にはルーフェイスの方が上だからな。

強さ的にはそこまで緊張しない。


「そういえば、俺も次からそういう訓練に参加しろって言われたっす」


「おっ、そうか。強い人ばっかりだし、楽しいと思うぞ」


「超楽しみっすね」


リーベたちは何言ってるんだこいつら? 的な表情を向けてくるけど、リーベやスレイドとかなら、何となく解ると思うけどな。


そして翌日から聞いてた通り、シュラがこっちの訓練に混ざってきた。


初っ端のバトルで騎士たちの驚いた顔はちょっと面白かったな。


「それじゃ、ダブルスの訓練を始めるぞ」


「「はい」」


途中からダブルス、主人と従者の三対三の訓練も始まり……結構疲労が溜まる。


美味い飯と癒しの風呂とベッドのお陰で翌日には消えてるけど、真面目に一日の終わりに疲労が溜まるのを感じる。

合宿なんだから、そうじゃないと意味ないんだろうけどさ。


ただ、合宿最終日辺りに、ふと思った。

こんながっつり訓練を積んでも良いのか?


まっ、ここ数年で手加減にはかなり慣れたし、大丈夫か。

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