珍しく反省
「まっ、そうなるよな」
実家にいる間に、セリスとレアードが他家の令息令嬢との交流会に参加した。
その交流会というのは勿論、単なるお喋り会ではない。
言ってしまえば、自分の魔法の腕や武器の扱い……そういった部分を競い合う会。
「はっはっは! 良いじゃないっすか。お二人とも全戦全勝ですし」
「いや、それは勿論兄として嬉しいよ。嬉しいけどさ……ねぇ、メリル。どう思いますか」
「……そうですね。私のあの提案は少々不注意だったと反省しています」
二人が交流会に参加したことで、場は盛り上がっていた。
ただ、いざ交流会が始まると……セリスもレアードも才能がある令息令嬢と比べても、頭二つか三つ抜けている。
模擬戦を行えば連戦連勝。
多分、同年代と今のところ二人が満足出来る相手はいないだろう。
そして、まぁ……同年代が思っていたよりも弱かった故に、ポロっとよろしくない言葉を漏らしてしまったらしい。
「別に俺はセリス様とレアード様が悪いとは思わないっすけどね。事実を述べただけじゃないっすか」
「それはそうだけど、って話だろ。同年代の子供たちからすれば、思いっきり喧嘩を売られたんだから」
セリスは思いっきり悪意がない無意識の見下し発言をしてしまった。
そしてセリスがレアードに同意を求め、レアードは言葉をやわらかく対応するも、セリスの言葉を否定しなかった。
当然、武器を扱う令息たちはブチ切れた。
責任者である教官? 的な人が止める前に、何人かの令息がセリスに襲い掛かった。
……結果として本人は楽しんで多っぽいけどな。
その時の方が自分に向けられた戦意が強く、スピードやパワーが上がっていた、らしい。
感情の起伏でそこら辺が多少変わることはあるだろうから、本心からそう思ってるんだろうな。
当たり前だが、それでもセリスは令息たちをコテンパンにした。
意識していなかったとはいえ、結果的に令息が複数で一人の令嬢に襲い掛かる形になった。
その後、その令息たちの親から盛大に謝られたようだが……彼らの心情を考えると、そんな普段は起こさない行動を起こしてしまうのも無理はないと思う。
「レアードの方はセリスほど酷くはなかったが、結局ボコボコというか……完全に圧倒したんだよな」
レアードはセリスみたいに、いきなり一対多数の状況になることはなかったが、次々に休みがない状態で勝負を挑まれた。
「棒術を解禁し、挑んでくる者たちを速攻で潰したと聞きました」
「令嬢には魔法で対応したらしいが……令息には、叩けるチャンスはそこそこの威力で叩いたんだっけ」
「かなり容赦なく、次々に沈めたと」
隙があれば急所を狙った方が良いとは二人に伝えてたけど、後衛職の魔法使いそれをしてくるとは思わないだろうな。
「……潰された生徒たちは、立ち直れると思うか?」
「本人の根性次第じゃないっすか? 心が強い奴は、負けたままで終われるか!! って感じで逆に燃えてると思うっすよ」
シュラならそうなるだろうな。
ただ、まだ十歳かそこら? っていうのを考えると、何人が立ち直れることやら。
それに関してはセリスやレアードが悪いんじゃないけど……同年代の子供たちにとって、今回接した子供たちは特に、二人のことを恐怖の象徴だと認識しそうだ。
「全員が全員、あなたの様に燃え上がれる子ばかりじゃないのよ。立ち直れたとしても……再びセリス様とレアード様に挑む気は起きないかもしれませんね」
「二人は悪くないと思うが……はは、今頃父さんの胃がキリキリしてるだろうな」
家に戻ってきた時の父さんの顔といったら……この世の終わりとまではいかずとも、マジでげっそりしてた。
カロウス兄さんたちが大成してるわけだから、下手なことを考える人はいないと思うけど……ご愁傷様としか言えないな。
まっ、二人が自分たちは強いという自信を得たことに関しては、喜ばしいことだけどな。
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