それは使用禁止
面倒な問題が解決した翌日から、雪原で野営を解禁。
夜は風が強くなる時もあるが、シュラとルーノさんが土魔法を使えるので、寝る前に防壁を整えてもらえば、テントが吹き飛ぶ心配はない。
とりあえず……一日目は、特に収穫がなかった。
相変わらず遭遇するモンスターの体が大きいということぐらいしか、いつもと違う変化はない。
「…………早いとこ見つかって欲しいな」
ヘイルタイガーとアイスドラゴンを早く発見し、全力で潰して早くこの依頼を終わらせたい。
そう思いながら、暖かいルーフェイスをモフモフする。
『ねぇ、アイスドラゴンと遭遇したら、僕も戦って良いよね』
『あぁ、勿論。というか、ルーフェイスにも戦って貰わないと、多分ヤバい』
そりゃ、竜魔法とか鬼魔法、羅門とかを使えば……なんとかなる気がする……多分。
でも絶対じゃないからな。
この前一人で三本角のオーガジェネラルを倒すことは出来たけど、あいつはAランククラスの力を持っているっていうだけで、本当のAランクじゃなからな。
「何をルーフェイスと話しているのですか?」
「アイスドラゴンと遭遇したら、絶対にルーフェイスに参加してもらうって話」
「絶対に参加してもらわなければ困ります」
うぉ!? むっちゃ食い気味に宣言するじゃん。
思わずのけ反りそうになったよ。
「お、俺もそう思ってるよ」
「それは良かったです。ラガス坊ちゃまのことですから、こっそり一人で戦おうと思っているのではと思っていました」
「おいおい、さすがに俺も一人で戦うのは無謀だって解ってるっての」
魔弾に竜殺しの効果を付与しても、そこまでダメージを食らってくれるとは思ってない。
竜魔法や鬼魔法……獣魔法に関しても、今の俺でアイスドラゴンの命まで届くかどうか……超心配。
色々頑張って届いたとしても、アイスドラゴンがそう簡単にくたばってくれるとは思えない。
最後の最後で強力な一撃をぶっこんできた、絶対に俺だけは……もしくはメリルたちだけでも殺そうとしてくる可能性大。
アイスドラゴンクラスの存在になってくると、タイマンバトルじゃメリルとシュラも十分な戦力と呼べるか、怪しくなってくる。
実際遭遇して戦うとなれば、メリルのメイン武器は毒……シュラは鬼火を纏った打撃になるだろうな。
「ルーフェイス抜きの面子で戦うにしても……勝率が九割も八割もあるとは思えない」
「当然です。ワイバーンなどの下級ドラゴンではなく、正真正銘のドラゴンです。こちらの戦力を全力で使わなければ、誰が死んでもおかしくありません」
「メリルの意見に同意っすね。Bランクのオルトロスぐらいなら、俺たちだけでもなんとか出来たすけど、Aランクのモンスターはルーフェイスの力を借りないと、やっぱり無理っすよ」
「……だよな」
シュラにしては珍しく消極的な意見……と思ったけど、単純に冷静にAランクモンスターとの戦力差を考えられてるだけか。
「ラガス坊ちゃま、羅門はもしもの時以外は使用しないでください」
「使わないで済むなら、なるべく使いたくはないと思ってるけど、なんでだ?」
「雪原に生息するモンスターの多くは、美味しいところ奪おうとする個体が多いと、個人的に感じました」
ふむ……そうだな。メリルの言う通り、漁夫の利を狙おうとする個体が多いという意見には、今までの経験から解らなくもない。
モンスターとの戦いが終わった瞬間、別のモンスターが襲ってきた。
そんな流れが雪原で活動するようになってから、もう何度も起こっている。
今回は探索する数が多いので、そんな奇襲にやられることはない。
ルーノさんとリタさんが斥候メインって訳でもないのに、察知力に優れてるしな。
「アイスドラゴンと先に遭遇した、時間を掛けて倒せたとしても、そこをヘイルタイガーに狙われてはシャレになりません」
「そんな場面で動けないのは、本当にシャレにならないな」
羅門は俺だけじゃなくてシュラも使えるけど……シュラも使用禁止にしておくか。
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