知能指数低下?

ハンターギルドの訓練場で体を動かし汗を流した後、丁度良い時間になったので夕食を食べることにした。

店に関しては既にリザード公爵様が話を通してくれているので、お金を払う必要がないらしい。


ありがたいと言えばありがたいんだけど……どんだけお金を使うつもりなんだ?

リザード公爵様の耳にも、俺がそれなりにお金を持っている情報は入ってると思うんだが……まっ、貰える物は貰っておこう。


リザード公爵様が話を通している料理店の料理は、当然ながら高級店。

本当に美味しく、この辺りに出現するモンスターとは殆ど戦ったことがないので、その肉などを使った料理をタダで食べられたのは幸運だ。


そして夕食は宿に付いている風呂に入り、眠くなるまで時間を潰してから寝た。

今更だけど風呂付の宿って、いったい宿泊費が幾らなのか気になったが……どうせビックリするのは目に見えているので、店員に訊くのは止めた。


翌日からは朝食を食べ終えたら、直ぐに雪原へと向かった。


「ちゃんとマジックアイテムで防寒対策してるっすけど、やっぱりちょっと寒いっすね」


「そうだな……魔弾、使っておくか」


寒さは、実戦でのパフォーマンスを落とす原因となるので、早めに全員に防寒効果の魔弾を与える。


「……暖かく、なった?」


「やはりラガス坊ちゃまの魔弾は多彩ですね」


セルシアやメリルはこの効果を知ってるので、特に驚きはない。


だが、ルーノさんやリタさん、イーリスは超驚いていた。

というか、何故かイーリスはわなわなと震えてる? なんで震えてるんだよ。


「あんた……これ、私との戦いでも使ってたでしょ!!」


「大会での戦いか? あぁ、使ってたぞ。氷魔法をバンバン使ってくるか、普通に寒かったしな」


大会の時も、いきなり周囲の温度がグッと下がれば、その分パフォーマンスが落ちる。

大丈夫だろうとは思いつつも、万一の可能性を消すために寒さ対策はしたな。


「ズルいわよ!!! そんなの、私の攻撃の利点を潰すようなものじゃない!!」


「……大丈夫か? 朝から雪原に入って行動を始めたから、頭がおかしくなったか?」


相手の利点を潰す、もしくは弱点を突く。

それはバトルにおいて基本的な行動というか、セオリーというか……とりあえず、一ミリもおかしい行動ではない。


「おかしくなってないわよ!!」


「いや、普通におかしいぞ」


「ラガスの、言う通、り。今のイーリスは、ちょっと、おかしい」


「ッ!!??」


あらら。セルシアはストレートだね~~。


ストレートパンチを食らったイーリスの表情は……面白い程崩れてるな。

ここで笑うのは失礼なんだろうけど……堪えるのが辛い。


「ラガス君の魔弾は、イーリスの攻撃を容易く破壊してしまう。それに加えて、その様な効果を付与できる力もある。その点がズルい……イーリスはそう思ってるのでしょう」


「あぁ~~、なるほど。それは……少しは納得出来ます」


確かに魔弾のアビリティは、マジで色んな効果を魔弾に付与できる。

回復まで出来るから、ズルいと言われるのは仕方ないと思う。


「そう! それを言いたかったんです!!!!」


「別に容易く破壊してるわけじゃないですけど……まっ、色んな効果を付与できるのは有難いと感じてるよ。その代わり、属性魔法を一つも習得出来ないけどな」


「ッ……そうだったわね」


そうだよ。ようやく思い出したか。

というか、それが俺を初っ端からバカにして否定した理由の一つだろうが。


なんでそれを忘れてるんだよ……一つも属性魔法を習得出来ないってのは嘘だけださ。

ただ、音魔法を馬鹿正直に教えるつもりはない。


「ズルいって思うなら、それ以上に成長するしかないだろ」


これまた上から目線な言葉だとは思うが、事実に変わりない。

それに、俺の防寒効果の魔弾にだって限度がある。


耐性以上の冷気を食らえば、必然的にパフォーマンスは落ちる。


なんて話をしてると、早速雪原のモンスターに遭遇……って、あれはホーンラビットか?

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