周りを見ながらえっちらおっちら
SIDE セシリアたち
「ぐっ!? やっぱりCランクのモンスターは、一味違うね!!!!」
若干弱音を吐きながらも、戦場に戻ったロックスはなんとかオーガの攻撃に耐えて反撃に出る。
「そう、かも……でも、問題、ない」
少しでもラガスに追いつきたい……その為の踏み台として、こいつらは使える。
そう思っていたセルシアは本気の殺す気で刃を振るい続ける。
「そうだな。俺たちがいるな、通常種ぐらいは問題無いだろう」
敵が全てCランク、もしくはそれ以上が潜んでいるかもしれないということで、剣は使わず己の五体のみで戦うリーベ。
(Dランクではない分、身体能力の全てが高い。特に力と耐久力……個体によっては回復の速さも厄介だ)
三人の攻撃は学生ながらも、確実にオーガに通用している。
セルシアの一刀など、上手くいけば首を斬り落として絶命させている。
だが、敵のオーガ達も自分の急所ぐらいは解っており、首や心臓などへの警戒心は高い。
そう簡単に決まることは多くない。
(本当に……ラガスの従者である、あの人は優秀だ)
そんな中で、自分たちが好きなように動いても問題無いのは、メリルというスーパーメイドがいるからだと、戦っていれば嫌でも解る。
「セルシア様は当然として、ロックス様も闘争心が萎えることはなく……リーベ様もガッツがありますね。ラガス坊ちゃまやシュラほど戦闘大好きといった感じではないと思いますが」
三人があまりにも勇敢に戦い続ける光景を見て、サポート役であるメリルは少し心配に思いながらも仕事を遂行する。
蜘蛛の糸を使い、ナイスなタイミングでオーガの足や腕を引っ張って動きを妨害。
足など本当にジャストタイミングで引っ張れば、盛大に転ばせることが可能。
「はっ!!!」
そしてその他の隙を見つけては毒弾を発射。
速さ重視の即効性の毒を使い、オーガの動きを鈍らせる。
さすがに毒弾一つでオーガを死に至らせることは時間的に不可能だが、毒弾は目や傷口に当れば直ぐに効果が現れる。
オーガクラスのモンスターであれば、耐性のスキルをその時に自力で習得してなんとかするかもしれないが、そんな隙を三人が見逃すはずがない。
セルシアの雷刃が、ロックスの風突が……リーベの剛拳がその命を貫く。
「ぜぇあああっ!!!!」
だが、オーガを始末するのは三人だけではなく、偶々三人の間を抜けてやって来たオーガを……手に毒の魔力を集中させたメリルが貫手や蹴りで始末してしまう。
「……やっぱりメリルも、凄い」
「いや、本当に凄過ぎる、よ!!!!」
「まぁ……長年ラガスと一緒に居たというのを考えれば、妥当なのかもしれない、な!!!」
自分たちが戦いやすいように敵の妨害を行い、状況を見て魔力回復のポーションを渡してくれる。
それに加えて、自分にオーガが迫ってくれば……急所一点を狙って撃砕。
同じことをやれと言われたら、自分たちに出来るか?
三人は絶対に無理と答える。
(それにしても、数が思っていたより多いですね。ラガス坊ちゃまやルーフェイスが違う場所で数を減らしているとは思いますが……それでも多さを感じる)
他にも今回の依頼に参加しているハンターや、演習に同行している教師陣も討伐に参加している。
(よっぽど群れの数が多かったのか……明らかに五十以上はいるような気がします。ですが、それだけの数が集まっていれば、ハンターギルドが注意喚起を出し……そもそもロッソ学園がこのような場所を演習場所に選ばないでしょう)
メリルの考えは最もであるが、ロッソ学園もハンターギルドも五十を超えるオーガの群れがそう遠くない場所に居るという情報は持っていなかった。
(……オーガ達から薬品の様な匂いはしませんし、誰かが狙ってこのオーガ達を寄こし訳ではなさそうですね……はぁ~~、上位種までチラホラ来ましたね)
今これ以上考えても無駄だと判断し、メリルは三人のサポートに再度集中しつつ、自分に近づく個体をぶっ潰し続けた。
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