珍しく厄介な三本角
SIDE ラガス
「厄介な個体が現れたな」
「な、なんだあいつ?」
アルガンツ先生と一緒にオーガや上位種の数を減らしていると、奥の方から三本の角を持つオーガが現れた。
狼竜眼で視た結果、種族的にはオーガジェネラルなんだが……どうやら特別な個体みたいだ。
「先生、あれがどんな個体か知ってるんですか?」
「過去に一回だけ戦ったことがある。種族名はオーガジェネラルだが、あの三本角の強さはAランクだ」
「……マジですか」
もう一度よく確認してみると、マジでAランクだった。
つまり、オーガキング並みの力を持ってるってことだよな……別に倒せる自信がないとか、そういうことは思ってないけど……本当に運が悪かったんだな、俺たち。
「ラガス君、あいつが現れたことで、周囲のオーガの強さもワンランク上がる」
「リーダー系モンスター特有の力ですよね」
そういう力がジェネラルやキングの厄介なところだからな。
ただ、目の前のオーガジェネラルからはバリバリ前線で戦い慣れてるオーラが零れてる。
というか、手に持つ大剣とか絶対に業物だろ。
とりあえず、三つ使うか。
「ッ!!?? ラガス君……それはいったい」
「まぁ、あれです。奥の手って感じです」
ドラゴニック・ビルドアップと腕力強化のコングアーム。
それと持久力と脚力を更に強化するために、ガゼルエンジンを使用した。
結構魔力を消費するが、あの予想外過ぎる大将を倒すには、これぐらい積んでおいた方が良いだろ。
後、アルガンツ先生も強化しておかないとな。
「おいおい、これもラガス君の奥の手なのかい?」
「別にこっちは魔弾の効果なので、そこまで奥の手とは思っていませんが……確かに普段から使ってはいませんね」
アルガンツ先生に使ったのは身体能力強化の付与弾。
結果的に自身の強化アビリティとか含めれば、普段より力が出過ぎるかもしれないけど……アルガンツ先生なら何とかするだろ。
つか、さすがに向こうもドラゴニック・ビルドアップの圧に慣れたっぽいな。
一気に来やがった!!!
「せいッ!!!!」
既に狼牙瞬雷とアブストラクトはしまい、体技に戦闘スタイルを移行。
肉体を超強化した状態なら、こっちの方が戦いやすい。
「おらッ!!!!」
「ギャバっ!!??」
……アルガンツ先生の言う通り、向こうもオーガジェネラルのお陰で強化されてるとは思う。
実際に全体的に身体能力が強化されてるし……俺に迫ってくるスピードも上がってる。
でも、こっちが思った以上に強化を積んだからか、あっさりワンパンで終わってしまうな。
「私がメインで動いた方が良いかと思っていたけど、全くそんなことはなかったね」
「それなら、今からでも自分が後衛に、移りましょうか!!」
「はは、勘弁してくれ。その身体能力なら、是非とも前衛で暴れるべき、だよ!!!」
いやいや、こう見えて特別な魔弾があるんで後方から支援は得意なんですよ。
アルガンツ先生だって既に付与効果に振り回されることなく動き回ってるし、ロングソードに雷を纏ってばっさばっさとオーガを斬り裂いてるじゃないですか。
傷口をしっかり電熱で焼いて再生しないようにしてるし。
やっぱり元ゴールドランクは伊達じゃないですね。
「ガルルゥアアアアアッ!!!」
ルーフェイスはルーフェイスでがっつり暴れてくれてるな。
オーガジェネラルが強化した幅なんて関係無いと言わんばかりの暴れっぷりだ。
技術力は置いといて、単純な身体能力だけならオーガと上位種は軽く片足を突っ込んでるような気がするけど、そんなの紙くずと変わらんって感じで切り裂いてる、
ルーフェイスの爪に風の魔力を纏わせたら、ミスリルだってスパッと切り裂きそうだな。
んで、そんな十分化け物クラスの二人がいるなかで……やっぱり俺を狙うんだな!!!」
「っぶな!!!!」
「ガァァアアァァァアアアア!!!!!」
おいおい、どんだけ地面を斬り裂くんだよ。
これ以上足場が悪くなるのは止めてほしいな。
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