戦いにくい足場

「グゥォォオオオオオオオッ!!!!」


「ガァァアアアアアッ!!!!」


「どいつもこいつ、元気いっぱいだな!!!」


オークみたいに木の棍棒を持ってる奴や、おそらく冒険者を殺して手に入れたであろう大剣? を使って殺しに来るオーガが多い。


中には体技をメインに襲ってくる奴もいるが……今のところ、俺とルーフェイスはノーダメージでなんとかやれてる。


オーガはCランクの中でも身体能力は高い方だが、それでもラビットフットを使った状態であれば、なんとかなるもんだな。

でも……バキバキに折られてる木とか、思いっきり凹んでる地面を見ると、何が何でもオーガの一撃は食らいたくない。


最初の方は魔弾の貫通力を上げて、透明にして目玉を狙えば結構楽に殺せてたんだけど、野生の勘? で五体ぐらい殺してからは意外と避けるようになった。


『ラガス、こいつら意外と、強いね!!』


『そうだな……どこかに、こいつらを強化しているリーダーがいるんだろうな!!』


今までオーガとは戦ってきたことがある。

ただ、今戦っている通常種のオーガは、今まで戦ってきた個体よりも少し強い。


魔弾も貫通力を上げて、尚且つ目を狙っていなかったら貫くことは難しい……かもしれない。


魔弾以外にも狼牙瞬雷やアブストラクトを使ってるから、攻撃の手札に困ることはないんだけど……結構ばっさり斬らないと、こいつら回復しちゃうんだよな。


元々生命力? が高いのは分かってたけど……もしかして、それも強化されてるのか?


それを考えると……このオーガ達を束ねてるリーダー格は、マジで強そうだな……そいつの素材だけは、綺麗に欲しくなってきたな。


「ッ!!?? 上位種も来たか!」


オーガナイト、ソルジャー、ファイター……見事なまでの力強い前衛たちだな。


いつも思うんだが……お前ら、そんなしっかりとした武器どこで手に入れてるんだよ。

ロングソードに大剣にナックル……しかも、そこそこ質が良さげな武器……いや、武器の質ならこっちも負けてないし!!!


「おらっ!!!!」


アブストラクトは刃が伸びるから、相手のリーチが長くても斬り分には問題無い!!!!


通常種と比べて確かに身体能力が上だが……まだいける。

狼牙瞬雷のお陰で脚力が上がってるから、強烈な一撃に捕まることはないけど……そろそろ、足場がめんどくさくなってきたな。


受け止めようと思えば受け止められるとは思うけど、大きな隙になるからオーガや上位種の攻撃は基本的に躱してる。


ただ、そうなると折れた木とか凹んだ地面が……うん、凄い動きづらい。


『ルーフェイス、少しだけオーガの相手を頼んでも良いか』


『任せて!!!』


後、倒したオーガの死体も邪魔なので、少しの間だけルーフェイスにオーガの相手を任せて回収に勤しむ。


そして再び戦いに参戦。

と思ったら、後方から強者の気配を感じた。


「アルガンツ先生!!!」


「どうやら無事の様だな」


「えぇ、まだ大将が出てきてないので、なんとか大丈夫です」


「……はぁ~~~~、分かってはいたが君の実力は本当にずば抜けているな」


軽く会話しながら斬撃でオーガの首を斬り落としてしまう先生も、教師陣の中でずば抜けて強いと思うんだけどな。


「それにしても……本当に狼竜なんだな」


「ふふ、そうですよ。俺の自慢の仲間です!!」


「狼竜を従魔にしている者は、俺が知る限りラガスだけだ」


自慢じゃないけど、それはそうだろうな。

本職がテイマーの人でも、ドラゴン系のモンスターを仲間にするのは難しい。


当たり前だけど、強いモンスターをテイムしようとすれば、死ぬ可能性が高くなる。

そんで、狼竜自体が中々発見出来ない存在だし……歴史的に見ても、狼竜を従魔にした人は数えるほどしかいないだろうな。


「それで、私が到着するまでにいったい何体を倒した」


「……多分、二十数体ぐらいだと思います。ただ、まだ大将格のやつは現れてないですね」


「そうか……まぁ、討伐に参加した面子を考えれば、問題無く倒せるだろう」


バレント先生もいるんだし、生徒たちに被害が出ることはないと思いたい……というか、本当になんでいきなりオーガの群れが攻めてきたのかだけ知りたいな。

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