退屈で死にそうになる時間

「はぁ~~~~~……」


「どうしたんだよ、ロックス。そんな大きなため息ついて」


「いや、俺たちだけこんなに美味しい夕食を食べても良いのかと思ってさ」


あぁ、そのことに関してか。


別に昼間にも食べたんだし……もう今更な話だと思うけどな。


「気にする必要ないだろ。俺が偶々収納のアビリティを持ってて、有能な料理系のマジックアイテムを持ってた。それだけだ」


「それだけって言葉で済まないと思うんだけどね……というか、どこでそんな有能過ぎるマジックアイテムを手に入れたの? てか、やっぱりラガスって料理上手だね」


「そりゃどうも」


夕食も今回は一応演習だから、メリルの力を借りずに行った。

軽い料理ならササっと作れるし、セルシアもそれなりに料理を作れるようになってきた。


つか、そういうロックスだって手際良かったけどな。


「マジックアイテムは……あれだよ。夏休みの間にちょっとごたごたがあったって話しただろ」


「……あぁ、あのごたごたね。うん、ちゃんと覚えてるよ。というより、ごたごた程度では済まない問題だと思うけどね」


「うん……確かにそうだな。それで、そん時の迷惑料というか……そんな感じで貰った品なんだよ」


説明に嘘偽りは全くない。

まぁ、調理器具とかが入ったマジックアイテムの他にも多額の金や、状態異常を無効にする指輪とかも貰ったけどな。


「納得したよ。でも、こんな食事に慣れてたら……いざハンターになったら困るだろうね」


「……それは仕方ない。そんなこと言っても、今はこうして作った料理を食べたいんだろ」


「勿論。二人が美味しそうな料理を食べてるのに、自分だけ干し肉とか辛過ぎるよ」


だろうな。

俺だってそんな状況、絶対に我慢できない。


「ロックスは料理は出来るんだから……収納系をどうにかするしかないんじゃないか」


「簡単に言ってくれるね」


「簡単もクソも、それしかないからな」


野営の飯が不味いのは、食材の保存が難しいから。

一定レベル以上の収納や、アイテムバッグやリングなら時止め……もしくは、一定時間時を止められる。


それ以外の方法だと、夕食前に何とかして食えるモンスターを狩って、サクッと解体するしかない。


ロックスにはDランクぐらいのモンスターなら、無茶せずに倒せる力はあるし、料理だって結構慣れてる。

解体の速度も悪くないし……これから次第では短時間で倒してか解体して料理してを行えるだろう。


ただ……解体してると、血の匂いに釣られてモンスターが襲ってくるのが難点だよな。


「俺らが卒業するまでまだ時間あるんだし、頑張って金貯めて用意するのが一番だと思うぞ」


「……それしかないかな」


「あぁ、それが一番の道だ」


そりゃ性能が良いマジックバッグとかリングを買おうと思ったら、とんでもない金額が必要になる。

そう簡単に貯められる金額じゃないだろうから……でも、このままロックスが順調に成長すれば、Cランクのモンスターが相手でも、複数でなければ倒せるようになる……筈。


頑張って倒して素材や魔核を売って、ってのを繰り返していけば……それなりに性能が良い物を買えるだろ。


「さて……見張頑張らないとな」


夕食の匂いに釣られてモンスターが襲ってくることはなく、お手製の風呂から上がれば見張りの時間。

正直、ルーフェイスに任せてたら一ミリも問題無いんだが、さすがにそういう訳にはいかない。


はぁ~~~、こういう時にマジでスマホやゲーム機が欲しいと思う。

どう頑張っても手に入らないのは解ってるけど……いや、襲ってくるかもしれないモンスターを対処しなきゃならない訳だし、他のことに集中してたら駄目か。


けど……マジで暇だ。


『ラガス、寝なくて大丈夫なの?』


『あぁ、大丈夫だよ。というか、授業の一つだからルーフェイスだけに任せるわけにはいかないからな』


一応交代制なんだし……頑張ってシャキっと仕事しないとな。

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