えっ、地獄だったの?
昼飯を食べ終え、夕方以降までずっとモンスターを狩り続けた。
最初に他の生徒たちの獲物を奪わないように奥の方に行ってたので、他のハンター科の奴らと偶然会うことはなかった。
ただ、ルーフェイスがいるお陰でモンスターの位置を直ぐに把握出来たので、モンスターを探すには困らない。
ルーフェイスの鼻を頼りにするのはちょっとずるいかもしれないけど……まっ、これぐらいはありだよな。
先頭には参加してもらってない訳だし。
そして夕方以降になると、一旦アルガンツ先生が待機してる場所まで戻る。
「先生、とりあえず今日の成果です」
「そこに並べてくれ」
「分かりました」
「…………うん、分かってはいた事だが、やっぱりこうなるか」
やっぱりってのは、俺たちが大量にモンスターを狩ってくることを指してるのか?
別に他の生徒の獲物を奪ってないから、悪いことはしてないと思うんだが。
「一応奥の方のエリアで狩ってたんですけど」
「ん? あぁ、別にお前たちに文句がある訳じゃない。ただ単に、お前たち三人が狩ってきたモンスターの素材の量に驚いてるだけだ」
そうのか。だったら別に良いんだが……普通に考えれば、他の生徒よりは多いだろうな。
そりゃ俺達以外にもモンスターとの戦闘経験がそれなりにある生徒はいるかもしれないけど、こっちには速攻でモンスターの匂いを探し当てるルーフェイスがいるからな。
「……よし。計算し終えたから……こっちで素材を預かることも出来るが、どうする?」
「あ、大丈夫です。収納に入れておくんで」
「はっはっは! そうだったな。全く……ラガスには本当に色々と驚かされるよ」
「それはどうも……お、リーベ!」
「ラガスか」
面と向かって会うのは久しぶりだな。
「そっちも一旦狩り終わった感じか?」
「あぁ、そうだ……ふっ。相変わらず学生らしからぬ相手を狩ってるな」
「偶々見つかってな。リーベも……それなりにレベルが高い相手を狩ったんじゃないのか?」
「……良く分かったな」
そう言うと、リーベはアイテムバッグの中からそれなりの素材と魔石を取り出し……その中でもひと際目立つ物があった。
「こいつか、それなりにレベルが高かった相手は」
「そうだ。遭遇した時は少し焦ったが……まぁ、なんとか倒せた」
「リーベがいなかったら本当に危なかったよな」
「いや、本当にそれな。てか、リーベちょっと強くなり過ぎだろって思ったぜ!」
リザードマンの鱗に魔核か……確かに学生にとっては脅威になる敵だ。
他二人と従者の表情を見る限り、リーベが一人で倒したみたいだな。
「……お前たちも地獄の様な訓練を続ければ、上に上がれる筈だ」
…………えっ? リーベの奴……俺たちとの訓練を、地獄だと思ってたのか?
そりゃ、絶対に勝たせてやりたいと思ったから、短期間で詰め込む形にはなったかもしれないけど……えっ、地獄だったのか?
「なぁ、そんなに厳しい訓練だったか?」
「えっと……ちょっと、厳しいかも」
「はは。セルシアの言う通りかもしれないね。家にいる時からそれなりに訓練は積んできたつもりだったけど、ラガスたちの訓練は正直、結構スパルタだと思うよ」
「ラガス坊ちゃま、自分の色んな部分が普通だと思ってはいけませんよ。勿論、あの訓練はリーベ様のことを思ってだと思いますが、基本的に無茶だと思われても仕方がありません」
……え~~~~~~~。
そんなにあれだったのか?
そりゃ疲れてからの模擬戦でこそ、一番自然な……ベストの動きを発揮できる。
その動きこそ、自身を成長させる一瞬になる。ってなことを考えながら訓練してたけど……そうか、ちょっとやり過ぎだったか。
次、リーベみたいに誰かを鍛えるような機会があったら、もう少し加減して内容を考えた方が良さそうだな。
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