あまり才能は関係無い?

「ただいま~~」


「お帰り、ラガス……す、凄いねそれ。えっと……もしかしてヴェノムスネークかな?」


「その通り。よく一目で分かったな」


どうせ直ぐに解体するので、担いでセルシアたちが待っている場所に帰ると、ロックスは直ぐに俺が担いでいるモンスターがヴェノムスネークだと気付いた。


「最近はそれなりにモンスターについて勉強してるから。でも、Cランクモンスターのヴェノムスネークを……どうせ一人で倒したんだろ」


「おう、勿論」


「なんか、ちょっといい汗流してるし……なんか制限して戦った?」


「……そこまで見抜くか。名探偵じゃん、ロックス」


簡潔にどうやってヴェノムスネークと戦ったのかを話すと、若干呆れた表情をされた。


「まぁ、メリルさんがいるからラガスが大怪我をするとは思えないけど……相変わらずサラッと無茶するね」


「はっはっは! 確かにちょっと無茶ではあったかもな」


強化系のアビリティを使わず、しかも武器は使わない。

加えて、力流のアビリティを持ってるとと分かっても、素手で倒そうとした。


普通に考えればバカだろうけど……力流を持ってる相手に対して、どう戦えば良いのか分かったし、意味のある戦いだったと思う。


「んじゃ、解体するか」


セルシアの方はまだ終わってないっぽいけど、ロックスとルーフェイスがいれば正直問題無いだろ。


というわけで、メリルと一緒に速攻でヴェノムスネークの解体を始める。

ヴェノムスネークの血は解毒薬としても使えるので、ある程度回収。


肉も焼けば問題無いので、無駄に傷付けない様に剥ぎ取り、鱗も同様に丁寧に回収。


内臓とかも意外と錬金術に素材に仕えるし、勿論魔核も絶対に傷付けないように回収して……終了。


やっぱり二人で解体作業をやれば早く終わるな。


「……ラガス、今更だけど解体作業が早過ぎないかい?」


「もう何年もやってるからな。自分で言うのもあれだけど、そこら辺のハンターよりは早いと思うぞ。まっ、今回はメリルが手伝ってくれたからってのもあるけど」


初めてモンスターの解体を始めてから……もう八年、七年ぐらい経つか?

森の中に入ってモンスターを狩る機会が多かったから、必然的に解体の腕は上がるよな。


あんまり確信を持って言えることじゃないけど、解体ってあんまり個人の才能とか関係無く腕があるが作業だと思ってるし……どちらかといえば若干苦手っぽかったセルシアも、今じゃ普通に解体作業を行えてる。


「てか、ちょっと血を採集するビンが少なくなってきたかも」


「そういえば、ラガスは錬金術も得意だからモンスターの血は大事な素材だったね」


「一応先生から渡された紙の中にも、ヴェノムスネークの血はポイントに入るっぽいしな……金はあるし、今回の演習が終わったらまた買いにいくか」


バカ王子の一件で、個人的な資産が爆発的に増えたから、何かを買うのにあれこれ考える必要はなくなった。


まぁ……素材は溜まっていく一方だし、ちゃんと使っていかないとな。


「ラガス、お腹、減った」


「……よし。食材はあるし、軽く腹ごしらえするか」


調味料は亜空間の中に入っているので、味付けは問題無い。


味付けなんてしなくても、グレーグリズリーやグレーウルフの肉はそれなりに美味しいけどな。

でも、グレーウルフの肉はそのまま焼くとちょっと噛み切りにくいから、かなら柔らかくしないといけない。


時間は十分あるから、焦らずじっくり料理に集中。


「こんなにあっさりと料理を作ってしまうところを見せられると、従者としてはちょっと寂しいですね」


「こんなの、料理を作るに入らないだろ。それに、ハンターを目指してるんだからサクッと何かは作れないとな」


軽く焼いて煮込んでって程度の作業しかしてない。

こんなんで料理って言ってたら、本職の人たちに鼻で笑われるっての。


「それじゃ、食べるか」


じっくり四十分ぐらい使って肉メインの料理を作り終え、早めの昼飯タイム。


まぁまぁ美味い飯を堪能してると、どこからか腹の音が聞こえた気がしたけど……気にしなくていっか。

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