成長速度はずば抜けているが

夏休みもまだ多少時間があるということで、実家に帰ってきた日の翌日に帰らず、とりあえず一日は滞在することにした。


そして翌日、朝食を食べ終えると双子に連れられて森の中を探索していた。


「懐かしいな。俺らもこうして森の中でモンスターを探して戦ってたよな」


「そうですが……ラガス坊ちゃま、まだ懐かしいとおっしゃるほど時は経っていませんよ」


「いや、そうかもしれないけどさ。最近はこうやってのんびり森の中を探索することはなかったんじゃん」


「それはそうかもしれませんが……ラガス坊ちゃま、ややおじさん化が進んでいるのではありませんか」


うぐっ!!! た、確かに前世の年齢を合算すればもうそろそろおじさんと呼ばれる年齢に突入するかもしれないが、それでもまだおじさん臭くない筈だ!!!!


「おい、メリル。さすがに主人に向かって失礼過ぎると思うんだが」


「あら、これは失礼しました。ラガス坊ちゃまは幼い頃から大人びていましたので、精神年齢が成長するのも早いのでもしかしたらおじさん化しているかと思いまして」


否定し辛いことを言うなよ。

でも、ぶっちゃけ精神年齢は成長してないと思うんだけどな。


「仮にそうなってたら気を付けるよ。てかさ……二人とも魔弾の扱い上手いよな」


目の前でレアードセリスが魔弾だけでホーンラビットを仕留めている。

ホーンラビット自体は大してランク高くないけど、それでも動き回るタイプのモンスター。


魔弾が躱される可能性は十分にあると思うんだが……全弾命中させてるよ。


「ふふ、どうですかラガス様!! レアード様とセリス様も魔弾の訓練はずっと続けているんですよ!!」


「その通りです! ちなみに私たちも密かに頑張っています!!」


「そ、そうなんだな」


密かに練習してるなら、言葉に出したら駄目だと思うんだが……ツッコまなくても良いか。


魔弾のコントロールも中々だけど……解体の腕も良い感じに上達してるな。


「お二人とも着実に腕を上げていますね」


「そうだな」


実家にいる頃、確かに二人の面倒を見る機会は多かった。

でも、ある程度時が経てば訓練もモンスターを狩りに行くのも俺とメリル、シュラの三人で行っていた。


二人がモンスターと戦ったり解体する様子は見たことあるけど……あれはもう二年ぐらい前の話か。


あのころと比べれば、二人は本当に成長したなって思う。


「ねぇ、ラガス兄さん。今の僕達ならどこまでやれると思う?」


「どこまで、か……う~~~~~~ん。多分だけど、Dランクのモンスターぐらいなら二人でなんとかなるんじゃないか」


身内贔屓の判断かもしれないけど、二人にはそれぐらいの力があると思ってる。

Dランクのモンスターが数体現れたとしても、従者のニルナとエルシャが参加すれば大丈夫。


「ふふ、実はね……Dランクのモンスターは既に倒してるんだよ」


「お、マジか。さすがレアードとセリスだな」


「でも、Cランクのモンスターはちょっと無理そうなんだよね」


あぁ~~~~、そりゃな。

けど、セリスの判断は妥当だ。


俺らの場合は俺自身が剣や魔弾、特別な身体強化系のアビリティがあった。

ニルナとエルシャも戦う者としては優秀だと思うけど、メリルはもっと優秀だ。


そしてシュラの存在も大きい。

鬼人族らしく身体能力が全体的に高く、割と技術もある。

だからCランクのモンスターと遭遇しても恐れずに戦って倒した。


あっ、でもシュラを助けるためにリザードマンと戦ったあの時は……うん、ちょっと恐れてたというか、ドキドキしてたかも。


「良い判断だぞ、二人とも。ちなみにその様子だと……実際にCランクモンスターをその眼で見たのか」


「うん。リザードマンとグリーンマンティスを遠目で発見して、足音を立てないようにゆっくりと離れた」


リザードマンとグリーンマンティスか。

ん~~~~……四人ならいける気がしなくもないけど、当然無傷では倒せないだろう。


それに家に帰るまでのことを考えれば、やっぱりまだ戦うのは得策じゃないか。

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