俺が、やる

「が、あぁ……」


「そっちこそ、こっちがガキだからって嘗め過ぎだ」


顎下から魔弾を放ち、頭を貫いて終了。

再生のアビリティ持ちではないし、これで確実に死んだだろ。


にしても、魔弾を一切警戒しないなんてな……いや、大会で優勝したからって、盗賊でも俺のこと知ってるって思うのは傲慢というか自意識過剰というか、って感じか。


「さすが、ラガス」


「そっちこそ、サクッと終わらせたみたいだな。こういう対人戦は初めてじゃないのか?」


「……うん、初めて」


やっぱりそうか。

俺は昔、体験したことがあるからなんとか大丈夫……じゃ、ないかも。


「あぁ……ちょっとヤバいかもな。気持ち悪い」


「同、感。罪悪感はない、けど……気分が悪い」


はは、その感覚はセルシアも同じか。

やっぱりこう……モンスターと人を殺した時の感覚はちょっと違うからな。


「大丈夫ですか、ラガス坊ちゃま。少し休みますか?」


「……いや、俺は大丈夫だ。セルシアは……どうだ? ここで休んでも大したロスにはならないけど」


「大丈、夫。問題無い」


そうか……本人がそう言うなら問題無いのかもしれないけど、ちょっとペースを落とすか。

おっと、その前にこいつらの死体を埋めないとな。


疫病の原因とかになったらシャレにならん。


「さて……尋問を始めましょうか」


「へ? メリル、お前何を……あぁ、そういうことか。一人生かしておいたんだな」


「えぇ、そういうことです。毒を注入して体は糸で縛っているので、もう逃げることはできません。さぁ、さっさと吐いてもらいましょうか」


盗賊が俺たちを襲ってきたってことは、こいつら以外にも何処かで身を潜めている盗賊たちがいるってことだ。

まだ父さんの領地に近いってわけじゃないが……潰しておくことに越したことはないか。


「へっ、ガキが大人の真似をしようとしても、上手くできる訳ねぇだろ! そもそも俺はアジトの場所なんて喋るつもりねぇしな!!!!」


……毒を盛られて、糸で縛られて殆ど動けないってのに、随分と元気な奴だな。

盗賊業なんてやるなら、これぐらい元気で図太くないとやってられないのか……盗賊に待ってる未来なんて、死か戦闘奴隷。


どんな状況でも強気じゃなきゃやってられない、か。


「こんな状況でも随分と強気ですね。ふふ、こういう時の為に生産出来るようにしておいた毒を「メリル、ちょっと待て」……どうしてですか、ラガス坊ちゃま。もしや、情けをかける訳ではありませんよね」


「お前、俺がそんな優しい人間だと思ってるのか? 隣国の王族をボコるような人間だぞ」


「……そうでしたね。その表情を見る限り、何か手段がある……そう思って良いのですね」


「そう思ってくれ」


やることは……バカ第三王子にやったことと変わらない。


「まっ、こいつがアジトの場所をゲロってくれたら一番楽なんだけどな」


「言っただろうが。お前らみたいなクソガキに喋ることなんて一つもねぇよ!!!」


……随分と濁った眼をしてるな。

もしかして貴族に恨みでもあるのか?


確かに世の中の貴族の大半は平民から恨みを買ってそうな気がするが……俺たちには関係無いし、サクッと喋ってもらおう。


「がっ!?」


「ほらほら、さっさとゲロった方が良いよ」


「ふざ、けんな。何度も、言ってんだろ! だれが、お前らみたいなガキに!!??」


「そんな意地張ったところで、なんも得にならないと思うぞ。だからさっさと喋ってしまえよ」


魔弾の威力を抑えれば、撃つ場所さえ間違えなければ良いタメージになる。


それに……これぐらいなら、直ぐに治せる。


「だれが、お前なんかに……なっ! どういうつもりだ!!!」


「どういうつもりって、お前にアジトの場所を喋ってもらう為に頑張ってるんだよ」


穴の大きさ的に、回復弾を撃てば直ぐに治る。


「それじゃ……我慢比べといこうか」


ちょっと気持ち悪い感覚があるから、バレないようにポーカーフェイスを保たないとな。

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