まともな連中かもしれない

王城の中で大人しくセルシアの細剣が用意されるまで待つと決めた。

ちなみに俺は既に空間魔法のアビリティ結晶を手に入れ、空間魔法を習得。


そして迷惑料ということで、アルガ国王から黒曜金貨十枚と貰った。

ガルガント国王から貰った分と合わせれば黒曜金貨十二枚と白金貨が三十枚……やばい、実家より金持ってるんじゃないか?


いや、実家の総財産と比べればまだ少ない……のか?

その辺りはいまいち知らないからどっちが多いのか分らんな。


とりあえずなるべく王城から出ずに、のんびり気ままにニート生活を楽しもうと決めていた。


だが、部屋に一人のメイドさんが訪れた。


「リゼード様、お手紙が届いております」


「俺に手紙? この国の人から出すか?」


「はい。差出人はブリット様のクラスメートたちからです」


ブリット……あぁ~~~、あのバカ王子からか。

そういえばあいつは今頃どうしてるんだ?

国王から馬鹿な行動を起こさないように見張られてると思うんだが……まだ呪弾の効果は表れてないしな。


あっ、睾丸が二つとも潰れた状態になってることには気づいたか?

なら一生子供がつくれない体になったことを知って発狂してるかもな。


「……もしかして、今回俺と第三王子が模擬戦を行ったことが、外に漏れていたんですか?」


「えっと……どうやら、自分がリゼード様に勝てば即座に報告すると申していたようで……それで連絡がなかったので、先程王城まで来てこの手紙をリゼード様に渡してほしいと伝えられました」


「そうですか……その、敵討ちをしたい気持ちが漏れてる様子でしたか?」


「いえ、特にそういった感情が漏れていた様子ではなかったですね。単純にブリット様を倒したリゼード様に興味が湧いているようでした」


バカ王子を倒した俺に興味を持ったか……まぁ、自国の王子様を倒した他国の貴族。

そんな存在が気にならないわけないか。


にしても、全く敵討ちとか考えてないってことはあいつ、もしかして友達いないのか?

それともクラスメートたちは良識があって、他国のパートナー関係に口出すなんて超アホだな~~~って思われてるのかもしれないな。


とりあえず手紙は読んでみるか。


「分かりました。返事は後で書きます」


「畏まりました。扉の直ぐ外でお待ちしておりますので、いつでも声を掛けてください」


さて……とりあえず開けるか。


「今回の件で一番の問題が解決したというのに、相変わらず面倒事に好かれていますね」


「やめろ、不吉な事を言うな。ちょっと否定出来ないし」


自身の性格もあって、面倒事に好かれているという問題は全く否定出来ないんだよな……だからって相手から侮られたり馬鹿にされても、ペコペコ頭を下げるのは絶対に無理だ。


「えっと…………はいはい、それで…………あぁ、なるほどね」


「なんて、書いてあった、の?」


「簡単に言えば、第三王子に勝利したのですね、おめでとうございます。そして、良ければ自分たちと一つ模擬戦をしていただけないでしょうか。ガルガント王国の大会で圧倒的な成績を残したあなたに興味があります。報酬は少々少ないですが、金貨十枚を用意しました。だってさ」


意外とあのバカ王子のクラスメートはしっかりした連中みたいだな。

俺がハンターの道に進むことを知ってるからか、それとも王城に招かれた客だからか、それなりの金額を模擬戦の代金として用意する……確かに黒曜金貨十枚と比べたら少ないかもしれないが、学生が用意するには十分な金額だ。


「あの第三王子と比べれば随分と礼儀正しいですね」


「礼儀正しいかもしれないが、ちょっと何か企んでそうじゃないか? 俺は何か裏があるように感じるっす」


「シュラの言うことも一理あるが………俺たちは一応王城に招かれた客だ。向こうも馬鹿なことは考えてないだろう」


単純に第三王子を倒した俺の力に興味があるんだろう。

どうやって倒されたかは知らない様だが……しっかりと報酬は用意してるようだし、軽く相手してやるか。

丁度良い暇つぶし相手にはなるだろ。

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