経験による反応
戦ってみて改めて思ったけど、やっぱり強いな。
素の状態で、本気を出している訳では無い。
ただそれでも俺の歳を考えればそこそこ速いんだが、全く当たるどころか掠りもしないな。
でもこれだけ戦えていれば良い点数は貰えると思うんだが・・・・・・ちょっと心配だ。
とりあえず試験官さんは今の速さに慣れているから、速度を急激に変えれば掠りぐらいはするだろ。
距離を取り、斬りかかるタイミングで身体強化のアビリティを発動。
試験官の表情を見る限り完全に虚を突いた。
これはもしかして普通に斬れるのではと思った、が。
それは甘い考えだった直ぐに解る。
「・・・・・・中々に慣れているな、小僧」
いやーーー、反射神経良いっすね試験官さん。驚きはしていたものの、あっさりと止められてしまったよ。
とりあえずもう一回距離を取ってから攻撃を・・・・・・。
「お前はもういい。下がれ」
「へ!? ・・・・・・あ、はい。わ、分かりました。有難うございました!!」
何が何だか今一つ解らんが、とりあえず俺はもう戦わなくて良い様だ。
一礼してからその場を去り、セルシアと合流した。
「最後の一撃、惜しかったね」
「あぁ。これはいけるんじゃないかって淡い期待を抱いたけど、やっぱり試験官を務める人ってのはレベルが違うね」
「そうだね。でも、ラガスの最後の一撃は、十分奇襲になってた、と思う。でも、試験官の人の、今までの経験? とかから咄嗟に動けた、と思う」
そういう考えもあるか。
でもそれじゃあ、セルシアの雷を纏った状態での速さは、試験官さんが本当にギリギリで反応出来る速さだったってことだよな。
それってやっぱ凄い事だよな。
「そっか。それで、やっぱり今回の受験者の中にはセルシアより強そうな奴はいないな」
「そう、かもしれない。でも、やっぱりラガスより、強い人もいなさそう」
・・・・・・いきなりそんな微笑ましい笑みをこっちに向けないでくれよ。
絶対に今顔が赤くなってる自信ある!! というか咄嗟に全く関係無い方を向いちゃったんだけど。
「ラガス、そっち向いてたら、試験の様子が見えない、よ?」
「え? あ、ああ。そうだな」
折角こんながらがらの観客席から戦いを見れてるんだから、しっかりと見ておかないとな。
つっても見ていて感じる感想は試験官さんマジ強いなってことぐらいなんだよなぁ~~。
基本的にその場から動かず戦ってるし。
俺やセルシアと同じように身体強化のアビリティを習得している奴は多いけど、やっぱり俺らぐらいの年代の奴がそれを使ったところで大して意味は無い。
おっ、セルシアの婚約者の・・・・・・侯爵家の子息君じゃん。
多分俺に一番キツイ視線を向けてたのあいつだよな。
開始前にセルシアの事を探していたし。
結局見つからなかったみたいだけど。
まぁーー、普通に考えて婚約者と仲良くしている野郎なんて気に喰わなくて当たり前か。
でもそんな感情があったとしても、俺に話しかけず睨んでるだけなのは会話が始まれば、いつどのタイミングで侯爵家の子息らしからぬ発言が出てしまうか解らないからだろうな。
別に会話をした事がある訳じゃ無いし、パッと見ただけなんだが馬鹿でも阿呆でも暴走野郎でもない。
ちょっとだけ無意識にナルシスト発言しそうだけど。
「あっ、負けたな」
「うん、負けた。頑張った方、なんじゃないかな?」
確かに他の受験生と比べたら実力は上だろう。
ただ・・・・・・本当に婚約者君には興味ないんだな。
頑張った方。その言葉はお世辞では無いと思う。でもなんと言いますか・・・・・・うん、興味が無さそうとしか表現できない。
俺の語彙力寂しいな。
あと何十人といるけど、一時間程で終わりそうだな。
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