疲れるだろ、そんな物を身に付けていたら
「ようやく全部終わったな」
「うん、終わった」
一応しっかりと全部の試験を見たけど、やっぱりガチで集中する程見ごたえのある試合は無かったな。
「やっぱり、ラガスが一番強い」
「・・・・・・そう言ってくれたことは嬉しい。ただ、マジで大きな声で言わないでくれよ」
「解ってる。私の声は、大きくないから大丈夫」
いや、知ってるよ。周りに人がいないからそりゃ聞こえてないでしょう。
でもそのセリフをもし聞かれたらと思うと心臓バクバクなんですよ、セルシアさん。
「とりあえず、メリル達と合流しないとな」
「うん、そうだね」
試験結果が解るのは三日後だったな。
それまでどうやって時間を潰すか・・・・・・モンスターを狩りたいと思ったけど、まだ十のガキがそんな事をやってたら一発でアウトだよな。
ならグロウバレットを使うか?
やっぱり無し。その後一日もの間魔弾が使えなくなるのはちょっと不安になるからな。
「セルシアさん。良かったら一緒に帰りませんか」
あぁーーー、やっぱり声を掛けられるよな。こんな綺麗な華がいれば。
って、こいつ頭チリチリ優男じゃねぇーーーか。
んで、セルシアの婚約者。
こいつ自身もやっぱハイレベルなイケメンだけど、少し後ろに立っているメイドと執事もハイスペックだな。
というか、俺が隣にいるのに堂々と一緒に帰らないかって言う辺り、絶対に断られると思ってないんだろうな。
というか、そもそもこいつの眼中に俺が入って無さそーだし。
さてセルシアさん、ここは穏便な対応を一つ頼みますよ!!
「嫌」
セルシアさーーーーん!!!???
も、もうちょい優しく穏便に謝りましょうよ!!
流石にストレート過ぎやしませんか!?
「私、ラガスと帰るから」
・・・・・・え? サラッと俺のこと盾にしちゃうの??
その一言でようやく俺が眼中に入ったみたいだけど・・・・・・その値踏みする眼を止めよろや。
イケメンだからってそんな気色の悪い見方して許されると思ってんのか。
「えっと、名前を教えて貰っても良いかな?」
「ラガス・リゼードだ。それで、あんたは誰だ?」
何となくだが、知らない体で言った方が良い気がするんだよな。
というか後ろのお二人さん、あんまり敵意を飛ばさないで貰えますかね。
別に親の爵位の差はあれど、俺達が子供って事に変わりはないんだから別に良いーーだろ。
「僕はジーク・ナーガルス。親は侯爵家で、セルシアさんの婚約者なんだ」
俺はジーク・ナーガルス。二度は言わねぇから忘れんじゃねぇぞ。
俺の親父は侯爵家の当主だ。どうせてめぇの親は男爵家か子爵家だろ。逆らえばどうなるか解ってんだろうな。
あと、セルシアは俺の婚約者なんだ。気安く近づいて喋ってんじゃねぇーーーよ。消されてぇのか糞陰キャが!!!
てな感じに聞こえたのは俺の思考がひねくれ過ぎているからでしょうか?
いやーーー、やっぱり自然と勝ち組オーラを振りまこうとする奴嫌いだな。
「お前・・・・・・外面と言葉が合ってないぞ」
「・・・・・・それはどういう意味かな?」
「自覚無いのか、とぼけてるのか知らないけど、解る人に解るぞ。自分の仮面が完璧だと思ってるのか? まだ十年しか生きていない俺らがそんな百戦錬磨の仮面を造れる訳無いだろ」
お偉いさんとかが集まるパーティーで分厚い仮面を被るのは解るけど、こんな日常でも仮面を被ってたら疲れるだろ。
もしかしてこいつドMか?
「貴様、いさかか調子に乗り過ぎじゃ「お待たせしました、ラガスお坊ちゃま」ッ!!」
良いタイミングで来てくれたな。
それとももしかして狙ってたのかもな。
「誰ですか、そいつ? もしかしてラガスさんに喧嘩売ってるんすか? なら俺が代わりに買っておきますよ」
シュラ、気持ちは嬉しいけどいきなり喧嘩は止めてくれ。俺も手を出して黙らせたいとは思ったけど。
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