同じ感覚がする
「同年代の生徒の中で、自分より強い生徒がいると、思う?」
「どうだろうな。制限なしの戦いだったら負ける事は無いと思うけど」
魔法限定の戦いだったら・・・・・・いや、音魔法以外のあの三つの魔法は強化系の色合いが強いけど、一応魔法なんだよな。
でも基本的に人前で使うつもりは無いから音魔法しか使えないルールだと、種が割れない内は勝てるかもしれないけど、どんな攻撃があるのか完全に把握されたら厳しいかも。
「というか、なんでそんな事を訊くんだ?」
「なんとなく、だよ」
そ、そうか。何となくですか。
個人的には何となくでそんな内容を訊かないと思うんだけどな。
「そういえば、魔靴を造ったのはラガスって言ったら、駄目なんだよね」
「ああ。そうしてくれたら助かる」
あれは趣味から出来た物だからな。
基本的に商売にするつもりは無い。
バルンク様が送ってくれた程の報酬を頂けるのならまた話は変わってくるけど。
「ラガス様は本当に名声に興味は無いのですね。セルシアお嬢様や当主様が扱いになってるところを拝見した事がありますが、魔靴を量産して特許を取れば間違いなく巨万の富を得るかと」
巨万の富ってのは言い過ぎな気がするが、確かに俺が魔靴を造るまで鉤爪やナックルみたいな手を主体に戦う武器はあったらしいが、足を主体に戦う武器は俺が知る限り無かった。
それを考えれば確かに巨万の富が得られ、名声も得られるかもしれないか。
「金が大量にあって損は無いだろうけど、有名になればそれだけ面倒事に遭遇する可能性は多くなる」
「・・・・・・なるほど、確かにそうでした。ラガス様にとっては得られる利益よりリスクが高いという事で合っているでしょうか」
「それで合ってるよ」
有名になればそれだけ動くのに制限が掛かりそうだし。
前世での芸能人と同じようなもんだよな。
そして一時間程時間が経ったところで会話は終わり、セルシア達とは別れることになった。
「今度は試験日に、会おうね」
「おう、お互いに落ちないように気を付けような」
まっ、バルンク様が娘にそんな醜態を晒す様な教育をしてないだろうから、俺が心配するだけ無駄な事か。
「新しく従者になった執事は前回の者と比べてまっしな者のようですね」
「そりゃ公爵様が同じような失敗はしないだろ。しっかりとそこら辺も真面な人材を選んだんだろ」
ただ、なんとなくなんだけど貴族やそれに関わる者の出じゃない気がするんだよな。
俺の気のせいか?
「あいつは、何となく自分と同じような感じがします」
「鬼人族とか戦闘スタイルとかその辺は関係無くって事だよな」
「はい」
シュラと何となく似てる、か・・・・・・もしかして一般市民の出ってことか。
だったら俺の違和感と合致するな。
というか、だからキリアさんはルーンが喋ってる時に少し睨んでたのか。
確かにちょっとまだ敬語に慣れていない感じが残ってたな。
「自分としてはバーズより好感は持てます。ただ、他の貴族の令嬢や子息がどう思うかは分かりませんが」
「いちゃもんを付ける奴がいなくもないだろうな。でも、相手は公爵家の娘なんだからそんな真似はしないか?」
「学園内で行動している時に常に一緒に行動している訳では無いでしょうから、その隙を突いて嫌がらせをしてくる阿呆はいるかもしれませんよ」
そういえばそうだったな。
というか、そこら辺に関しては俺にも嫌がらせが飛んできそうだ。
さっさと卒業してハンターになりたいもんだ。
その後は特に面倒事に遭遇する事無く日々を過ごし、試験当日を迎える。
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