善意・・・・・・では無いな
「さぁ、ここが今日メインの場所、ハンターギルドだ」
・・・・・・でか!!! いや、勿論王都のお城並みにデカい訳では無い。
それでもこう・・・・・・なんて言えば良いんだ? もう少しこじんまりとした作りかと思っていたんだが、この街にハンター達の質が高くてギルドの上層部が有能なのか?
大きさだけで言えば、十分にランクの高いホテルと同等並みにデカい。
それに建物から古臭さを感じない。
何かしらのマジックアイテムを使っているのか?
「ラガス坊ちゃま、驚いて声も出ませんか?」
「ああ、そんな状態だった。てか、メリルはそんなに驚いていないんだな」
「事前にミル―アスの街が栄えているのは知っていましたので、それならばハンターギルドも比例して栄えているのではと予想していましたので。ただ・・・・・・表情には出ていないかもしれませんが、これでも驚いてはいます」
メイドっていうジョブに就いているからそこまで驚き等の表情は表に出さない様に、自然にそういうポーカーフェイスを身に付けたのか?
「まぁ、この街のハンターギルドもデカいが、王都のハンターギルドはもっと大きいぞ。もう・・・・・・あれだな、俺は最初見た時屋敷と勘違いした。それぐらいの大きさだ」
屋敷と見間違うぐらい大きい・・・・・・いや、目の前のハンターギルドも屋敷と見間違うぐらいデカいんだが。
でも父さんが比較するように言うって事は、このハンターギルド以上に王都のは大きいって事だよな。
「ほらっ、驚くのも良いが、中に入るぞ。それとも中には入らず別の所に行くか?」
「いいえ、絶対に中に入ります」
もう、さっきから心臓がバクバクとなってるぐらいワクワクしてるんだ。
ここでお預けを喰らったら絶対に今日一日テンションが最底辺まで下がって上がらない自信がある。
父さんがドアを開け、メリルと続いて中に入る。
「っ・・・・・・これが、ハンターギルド、かぁ・・・・・・はっ、スゲーー―な」
外が立派であれば、中もしっかりとしている。
もう少し年季が入った感じの雰囲気が漂っているのかと思っていた俺の期待は、良い意味で裏切られた。
「ラガス坊ちゃま、おもちゃを目の前にした子供の様な表情になっていますよ」
「否定しない。何より俺はまだ子供だ。望んでいたおもちゃが目の前にあればそういった表情にもなる」
「普通の子供はラガス坊ちゃまの様に賢くはありませんよ」
そりゃそうだ。俺の歳でここまで頭が回る奴は天性的に頭が良い奴だけだろうな。
ん? なんかこっちに綺麗な姉ちゃんがやって来た。
街が栄えているからか、職員の人も容姿が良い人が多いのかな?
「ようこそハンターギルドへ。今日はどのような御用でいらっしゃいましたか?」
「ああ、今日はちょっと子供にハンターギルドを見せにな。っと、怪しい物じゃないぞ」
父さんンが身分を証明するためにギルドカードを渡すと、受け取った美人な職員の人は驚いた表情に変わった。
「これはっ、失礼いたしました。シルバーランクの方でしたか。今日はご子息の見学という事でよろしいでしょうか?」
「ああ、息子が学校を卒業したらハンターになりたいって言ってるんでな。依頼を受けさせるような馬鹿な真似はさせないが、中がどうなっているか見学ぐらいは良いだろうと思ってな」
「そうでしたか、ごゆっくりご覧ください」
仕草も綺麗な人だな。ていうか、スタイル良すぎないか?
こう・・・・・・男を誘惑する部分がたくさんある気がする。
「はっ、ガキが随分と夢を見ているようだが、ここはそんな甘っちょろい夢を想像してる奴が生き残れる場所じゃなぇんだよ。そもそもあんたみたいなひょろいおっさんがシルバーランクなのかも怪しいぜ」
「バンダさん、特に理由も無く同業者に絡むのは止めてくださいといつも注意している筈ですが?」
「おいおいおいおい、そんな怒る事じゃねぇだろシェイラ。俺は夢見がちなガキが将来無駄死にしない様に現実を伝えてやっただけじゃなぇか」
甘っちょろい夢を想像している奴らが生き残れる場所では無い。無駄死にしない様に現実を伝えてやっただけ。
言葉だけ見ればツンデレ野郎が不器用な優しさで忠告しているように聞こえなくもない。
ただ、もし本当にそう思っているな父さんまで馬鹿にする必要は無い。
そもそもまともな奴なら父さんの実力を全て把握するのは無理でも、ある程度は解る筈だ。
ていうか、父さんがひょろひょろだぁ? ・・・・・・無駄にデカい筋肉達磨が調子に乗ってんじゃねぇぞ。
「ッ――ラガス」
「無理です」
俺は一言断って前に出る。
ここで俺が面倒事を起こしても・・・・・・俺に非は無い筈だ。
先に喧嘩売って来たのは向こうだしな。
「依頼も受けず、昼間っからダラダラしてる暇人が父さんを侮辱してんじゃねぇよ」
丁度良い、俺がどれだけ強くなってるのか試してやる。
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