助けは必要ない

「・・・・・・おい、今俺に喧嘩を売ったのはお前か、クソガキ」


「ああ、そうだよ。今お前に喧嘩を売ったのは・・・・・・つーーーか、先に喧嘩を売ったのはお前だろ」


軽く挑発しただけでこの対応・・・・・・思った通り煽り耐性が無いみたいだな。

いや、俺みたいな子供に煽られれば誰だって反応してしまうのが普通か?


まぁ・・・・・・どちらにしろ、俺にとっては好都合だ。


「あのなぁ、何か勘違いしてるだろガキ。俺は何も間違った事は言ってねぇんだよ。てめぇの親父みたいなひょろい奴がシルバーランクまで成り上がれる訳がねぇじ、ここはお前みたいな何も知らないガキが夢を見て良い場所じゃねぇんだよ」


後半はその通りかも・・・・・・いや、どちらにしろ目の前のこいつにそんな断言して良い権限は無い。

前半に関しては、マジでそう思っているならハンターとしてこれ以上成長できないんじゃないかと思えるな。


「お前こそ対して実績も無い中途半端なハンターがなにを全てを知っている様な強者の雰囲気を出そうと背伸びしてんだよ。部屋の隅で縮こまってろ弱者」


ある程度の経験と実績があるハンターなら父さんの実力を見抜ける筈だ。

なのにこいつは全く分かっていない。

完全に見た目だけで判断している。


いや、そもそも父さんの見た目はそこまで貧弱じゃないんだが・・・・・・今それはどうでも良いか。


「クソガキがぁ・・・・・・もう吐いた唾は飲み込めねぇぞ」


「脳みそまで筋肉の奴もそういう言葉を知ってるんだな」


とりあえず、そっこーーーで終わらす。




「あの・・・・・・見ているだけでよろしいのですか? リットさんの実力ならあの馬鹿を止められると思うのですが」


確かに止める事は出来るだろうな。

命のやり取りは最近行っていないが、これでもシルバーランクのハンターだからな。ラガスに絡んでいるハンターになって数年程度の若造に負ける気は一切無い。


「勿論止める事は出来ますよ。ただ・・・・・・お嬢さんもあのハンターを押さえる事が出来そうですが」


受付嬢の中には元冒険者の女性もそこそこいる。この子も元ハンターだった受付嬢だろう。明らかに纏う雰囲気が違う。

目の前のハンターと比べて、経験の数や技術の高さに大きな差がある。


「・・・・・・そうかもしれませんが、お子さんが危ない状況になっているのに父親であるリットさんが止めに入らないのですか?」


危ない状況なぁ・・・・・・確かに第三者から見ればそう感じるのかもしれないな。

でも見ろよ、ラガスのメイドであるメリルなんてラガスの挑発の言葉を聞いて吹き出し、必死に笑い声を堪えているんだぞ。


俺達には全くラガスが危機的状況に遭遇している様には見えない。


「俺達が手を出さずとも事は済む。それよりお嬢さん、目を離さない方が良い・・・・・・目の前で常識が崩れる瞬間だ」


さて、決着は・・・・・・大体十秒程度か。



「おらぁああ!!!」


さっきまで俺は口撃しかしておらず手は出していない。

そんでこいつは先に手を出してきた。だからこれは正当防衛だ。


右手で銃を作り、殴りかかって来るハンターの顎に目掛けてアビリティ発動する。


「魔弾」


「かはっ!!??」


・・・・・・あれ? いつも戦っているモンスターより反応速度は速いと思ったから、スピードは七割ぐらいに上げたんだけどな。

もしかして今は様子見とか?

確かに身体強化とかのアビリティは使っていないし・・・・・・まぁ、俺をなめてんならそれを利用させて貰うか。


核の高さは流石に向こうの方が上だろう。

だから身体強化のアビリティを発動、そんで闘気を右足に纏う。

そんで左足で飛んで、蹴りをかます!!!


「シッ!!!!」


「グフォ!!!!!!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る