Epilogue おげんきで

最終話 わたしは家族なんて――

 六月。

 わたしがやって来たのは、精神外科病棟だった。


 梅雨なんてどこへ行ったのやら、ここ数日はずっと晴れ間の続く蒸し暑い気候になっていた。

 制服のカッターシャツが、汗で気持ち悪くべったりと引っ付いてくるのを我慢しながら、わたしはとある病室を訪ねる。


 コンコンッ、と一緒に来てくれた看護士さんが扉をノックすると、「はーい」という、呑気な返事があった。

 それを合図に、看護士さんと部屋に入ると白いベッドの上にいた女の子が、こちらを向き、嬉しそうにニコッとほほ笑んだ。


「あっ、愛美ちゃん!」

 彼女……、智子はわたしの名前を元気よく叫んだ。


 個室だからいいものの、他の入院患者がいたら、はた迷惑な行為にも関わらず、看護士さんはそれを咎めるような発言はしなかった。

「良かったわね、倉敷さん、今日もお友達が来てくれて」

 看護士さんがちらっと、後ろにいるわたしを見たので、思わず下を向いてしまう。

「それじゃあ、嬉しいからってあんまりはしゃいじゃ駄目よ」

「はーい」

 智子の返事を合図に、看護士さんは部屋から出て行き、二人きりになる。


「……どう? 調子は?」

 わたしが智子に話しかけると、彼女は寂しそうに笑いながら答えてくれた。

「うん、もう大丈夫だよ。身体のほうは……」

 しゅん、とうなだれたまま、智子が告げる。

「ごめんね、愛美ちゃん。私、まだあなたのこと、ちゃんと思い出せていないの……」

「……そっか」

 その言葉を聞いて、安心する自分もいれば、違う感情がわき出てしまいそうな自分もいることに気が付く。

 だから、強がりだと承知の上で、わたしは智子を説き伏せる。

「別に……、無理に思い出さなくていいよ。どうせろくな思い出なんてなかったんだから」

「なにそれ酷いなー。それって私がつまんない人って思われているみたいじゃん」

 ぷくっ、と可愛らしく頬を膨らませる智子。

 だが、すぐにまた、寂しそうな表情をするのが見えて、胸が痛くなる。


 記憶障害。

 看護師の人から聞いた、智子の病名だ。


 人間の脳は自我を保つために、辛い記憶を意図的に忘れてしまうということがあるらしい。

 そんなこと、フィクションの世界だけだと思っていたけれど、それがあの日の夜以降、智子に実際起きてしまった現象だった。

 つまり、智子は自分がどんな目に遭って入院生活を強いられているのか、一切覚えていないのだ。

 それ自体は、わたしは良かったと思っている。

 あんな酷いことをされた記憶なんて、さっさと忘れてしまったほうが、智子のためだ。


 だが、その後遺症、とでもいうべき代償が発生した。

 智子は、わたしと過ごした時間も、一緒に忘れてしまったのだという。

 連鎖的な……現象だったのだろう。結果を忘れるためには、過程も忘れなくてはいけないのは必然で。

 この場合、智子がこうして病院のベッドで過ごすことになってしまったのは、わたしに出会ってしまったからだ。

 でも、智子はわたしたちがどういう風に出会って、どういう風に過ごしていたのかは忘れてしまっていたけれど、わたしのことを『友達』だとは、覚えてくれていた。


『愛美ちゃんに、会いたい』


 目が覚めた智子が、最初に発した言葉らしい。

 それを聞いた智子の両親は、悩んだ末に、わたしとの面談を許可してくれた。

 でも、わたし自身は正直、智子に会うのが、怖かった。


 恨まれているんじゃないか。

 怖がられるんじゃないか。

 そんな思いが、わたしの中で駆け巡った。


 だけど、そんな風に怯えるわたしの背中を押してくれたのが、近江家の人たちだった。

 きっと大丈夫だから、と。

 後悔しないように、自分に正直になりなさい、と由吉さんたちから言われてしまった。

 そして、あの事件が遭ったあと、わたしは初めて智子と再会した。

 智子は、病室にやって来たわたしを見て、今日みたいに、とても嬉しそうに、笑ってくれたのだ。

『愛美ちゃん』と、わたしの名前を呼んでくれた。

 それが、わたしは嬉しくてうれしくて、目がおかしくなったんじゃないかと思うくらい熱くなってしまったんだけど、この子の前では、そんな情けない姿を見せたくなくて、いつものように愛想のない態度をとってその日は過ごした。

『ごめんなさい。正直に言えば、わたしは愛美ちゃんのことを覚えていないの。だけどね、顔を見た瞬間、この人がわたしの知っている愛美ちゃんだってすぐわかったし、わたしの大切な友達だってことも、不思議とわかっちゃったんだ』

 どうしてだろうね? とほほ笑む智子に、わたしは「知らないよ」と、ぶっきら棒に答えていた。

 こんな時にでも、わたしはこういう態度しか取れない。

 どうやら人間は、そうそう自分の性格を変えられないらしいと思った瞬間だった。

 それでも、智子はわたしの返事を聞いて満足げな顔をしていた。

 こうして、わたしと智子の関係は、少しずつ修復していっている。いや、修復というよりは、再構築、という言葉が、一番しっくりくるだろうか?

 とにかく、今日もわたしはこうして、智子の傍にいることができている。


 ――だけど、こうして智子と一緒に過ごす時間も、残りあとわずかだった。


「愛美ちゃんと会えなくなるの……寂しいな……」

 ふいに、智子がそう呟いた。わたしは、何も返事をしなかった。

 余計なことを言ってしまいそうな気がしたから。

「でも、私が転校しちゃって一番困るのは、愛美ちゃんなのかな?」

「なんで?」

「愛美ちゃん、わたしがいないとクラスで浮いちゃってるでしょ? なんかそんな感じがする」

「浮いてないよ」

 無駄に鋭いのは変わっていないな、この子は……。

 半目で呆れたように言うわたしだったけど、その表情が面白かったのか、クスクスと笑い出す智子だった。

 そんな智子の様子を見られるのも、もう最後かもしれない。

「今週の休みには、もう転院するんだっけ?」

 わかっていることだったけど、確認するように、智子に問いかける。

「うん、お父さんたちが、そっちの病院のほうがいいんじゃないかって……」

「……そっか」

 いつものように愛想のない返事をするわたし。


 智子を、そしてわたしを襲った悲劇は、由吉さんたちの助力により、解決した。

 いや、根本的な解決なんて何一つしていないのかもしれないが、それでも結果だけを見れば、霧島たちの逮捕、という形で幕は下りた。

 そのニュースは、別段大きなニュースとして取り上げられることもなく、学校側と警察で情報操作をしたのかも、わたしには全く興味のないことだったが、もう二度と、わたしと智子が、霧島と伊丹に遭うことはないと、由吉さんが教えてくれた。

 それでも、智子はこの街から、去らなくてはいけないことになった。

 彼女の心情を考えると、この街にいるよりは、のどかな田舎である両親の実家にいるほうがいいということだった。

 仲が悪いと智子から聞いていた親子関係は、それなりに、少しずつ歩み寄っているようだ。


 たしかに、この街には彼女にとって、忌まわしい思い出しか残っていなくて、たとえ本人が忘れてしまっていても、いつ思い出すかわからないのだ。

 こうして、わたしと話していることさえ、本来は危険な行為なのかもしれない。

 それでも、本当は智子にはずっとそばにいて欲しかった。

 そう伝えたかったけど、これ以上、彼女に迷惑をかけてはいけない。

 きっと、この子はわたしが引き止めると、両親に反発して、この街に残ることを選択するだろう。


 智子は、そういう子だ。

 だから、わたしのわがままで、これ以上、この子を縛ってはいけない。


 でも、せめて最後ぐらい、ちゃんと伝えよう。

 わたしの気持ちを。


「智子」

「なに? 愛美ちゃん?」


 屈託のない笑顔を向けてくる智子に対して、わたしはか細い声で、告げた。


「……ありがとう」


 必死で言った台詞だったけど、智子はじっとわたしのことを見るだけで、口を挟まなかった。

 わたしは、勢いに任せて伝える。



「こんなわたしと、友達になってくれてありがとう……」



 恥ずかしくて、顔から火が出そうだった。数年間、ひねくれた性格で育ったわたしにとっては、こんな純粋な気持ちを口に出すのは、恥ずかしくて恥ずかしくて、その場から逃げ出したい気持ちになる。

 ああもうっ! こんなこと、やっぱり言うんじゃなかった!


「愛美ちゃん……」

 わたしが、真っ赤になっているであろう顔を隠していたところで、智子がベッドから起き上がって、わたしを抱きしめた。


「愛美ちゃん、こっちこそ、わたしと友達になってくれて、ありがとう。あのとき、わたしを助けてくれて、ありがとう」


 ……えっ?

「智子、あんたもしかして……」

 しかし、わたしが質問をする前に、智子は人差し指を立てて、唇に押し当ててきた。

 呆然とするわたしに、智子はただ、笑顔で見つめてくるだけだった。

「あっ、そうだ。愛美ちゃんが来たら、渡そうと思ってたんだ」

 話題をそらすように、智子がそう言って、花瓶がある棚に置いてあった小さな袋を渡してきた。


「これ、愛美ちゃんにプレゼント」

 わたしはそれを、戸惑いながら受け取る。

 中を見ていると、可愛らしくラッピングされた小さな箱が入っていた。


「お母さんが何か欲しいものはない? って言ってくれたから、買ってきてもらったんだ」

 開けてみて、と、智子が呟く。

 わたしはその指示に従って、丁寧にラッピングを取って、箱の中身を確認する。

「これを……わたしに?」

「うん、愛美ちゃんに似合うかなーって思ってさ」

 智子がわたしに渡してきたものは、可愛らしい、いちごの形の留め具がついたヘアピンだった。

「それ、わたしも持ってるんだよ」

 そういうと、智子は病院服のポケットに入れていたのか、いつのまにか、わたしに渡した同じヘアピンを付けているところだった。

「えへへ、これでお揃いだね」

 幼い顔立ちをしている智子には、よく似合っていたけれど、果たして、わたしに似合うとは、とても思えないのだが……。

「もしかして……あんまり嬉しくなかった?」

 だが、心配そうに見つめてくる智子に、そんなことを言えるはずもなく、

「わかったよ! 付ければいいんでしょ付ければ!」

 半ばやけくそに、わたしはヘアピンで前髪を止めた。

「うん、やっぱり似合ってる」

 智子の感想を聞いて、自分の耳が真っ赤になるのがわかった。

 智子は憂ちゃんに似ているところがある。わたしを困らせることなんてそっくりだ。

 ただ、それも悪くないと思ってしまう自分もいるのが、昔のわたしからは想像できないことだった。

「わたしがいなくなっても、ちゃんと大事にしてね、愛美ちゃん」

「……わかったよ」

「それと、大事なことを教えてあげる。いちごにも花言葉があって、『尊敬と愛』っていう意味があるんだって。わたしが愛美ちゃんに送るプレゼントだって考えれば、ぴったりだと思わない? 愛美ちゃんの文字も入ってるし、わたしは、愛美ちゃんのことが大好きだから」

 わたしとは違って、そんなことを平気で言ってしまう智子を、冷たくあしらう。

「重い」

「あはは」

 軽く笑われて一蹴されてしまった。

 どうやらもう、わたしの冷淡な態度は、もう彼女には通じないらしい。


「愛美ちゃん。元気でね。わたしも元気でいるから。今度会ったときは、本当の友達として、遊ぼうね」

「うん、わかった」

 素直に、わたしは肯いた。

 いつになるかはわからないけれど、智子がこの街に帰って来たときは、付き合ってあげよう。


 ショッピングセンターにも。

 レトロな映画館にも。

 静かな図書館にも。

 どこにだって付いて行ってあげよう。

 わがままを聞いてあげるのも、友達の役目なのだから。


「智子、また会おうね」

 わたしのほうからも、彼女と約束を取り交わす。

「うん」

 それに、智子はにっこりとほほ笑んで、答えてくれる。

 わたしはまだ、笑顔を上手くつくることができない。


 だけど次に会うときには、智子にちゃんとわたしの笑顔を見せてあげようと、決意した。


〇 〇 〇


 病院を出ると、空が夕焼けで真っ赤に染まっていて、最寄りのバスから下車したときには、街灯が点灯していた。

 結局、智子は面会時間をいっぱいに使って、わたしとおしゃべりをした。

 内容は、正直言って、あまり覚えていない。

 だけど、楽しかったことだけは覚えている。

 わたしと智子にとっては、それだけで十分だった。


 でも、ひとつだけ、そのことが原因で、迷惑をかけてしまった人たちがいるようだった。

 ポケットに入れていたスマホが、振動する。


 つい先日、由吉さんたちに再度買ってもらったものだ。憂ちゃんの強行決議によって派手なピンク色の機種になってしまって、人前で取り出すのは憚れていたのだが、幸い、今は誰も周りにいないので、躊躇なく取り出す。

 画面には、通話相手の名前が表示されて『近江 由吉』となっていた。


「はい、由吉さん?」

『もしもし、愛美ちゃん! 今どこ!』

 慌てた様子の由吉さん。

 もしかして、久瑠実さんや蓮さん、もしくは憂ちゃんの誰かに何かあったのだろうかと思ったが、それはすぐに杞憂に終わった。

「えっと、もう帰るところですけど……」

『なんだ……良かった。愛美ちゃんの帰りが遅いから、みんな心配してたんだよ』

 と、いうことらしい。どうやら、心配されていたのは、わたし自身のようだ。

 いやいや子供じゃないんだから……と、呆れたいところだったが、前回のこともあるわけで、遅くなる連絡をしなかったわたしに非があるのは明らかだった。

 それに、彼らにとってはわたしはまだまだ子供なのだろう。

 まぁ、由吉さんの心配性が過剰であるという点は、このさいオマケで差し引いておこう。


「すいません、すぐ帰りますから」

『うん、わかったよ。あっ、今日は久瑠実さんがコロッケ作ってくれてるから楽しみにしててね!』

 そう言い残して、由吉さんは通話を切った。

 別段、コロッケに釣られたわけではないのだけど、わたしの足取りは少しだけ速くなって、気が付いたときには、駆け足になっていた。

 そのとき、わたしは智子からもらった、ヘアピンを付けたままだということに気が付いた。

 智子は、このヘアピンを選んだ、もう一つの理由を、教えてくれた。


『いちごにはね、さっき言った『尊敬と愛』っていう花言葉とは別に、こういう意味があるんだって』

 勿体ぶりながら教えてくれた、いちごの花言葉を、わたしは呟く。


「『幸福な家庭』……かぁ」


 もう二度と、わたしには手に入らないものだと思っていた。

 だけど、もしかしたらわたしにも、そういう未来があるのかもしれない。

 わたし自身が求めれば、彼らは、受け入れてくれるから。

 こんなわたしでも『家族』だと、言ってくれた人たちがいる。

 急には無理かもしれないけれど、わたしも少しは、彼らの期待に応えようと思う。


 ひねくれ者で。

 臆病で。

 人間不信なやつかもしれないけれど。


 それでも、少しずつ、前に進もうと思う。


 額に汗が溜まってきたところで、近江家の立派な一軒家が見えてきた。

 そして、その一軒家の扉の前で、なにやら揉めているような人影が見えたかと思うと、由吉さんの声が聞こえてきた。


「やっぱり愛美ちゃんを迎えに行くよ!」

「もう、いい加減にしてよパパッ! さっき愛美ちゃんから『もうすぐ帰る』って言われたんでしょ?」

「そうだよ父さん。あまり過保護だと、愛美ちゃんから嫌われるよ?」

 今にも玄関から外に飛び出そうとしている由吉さんを必死で止める子供二人の姿は、どこかこう……シュールというか、どっちが子供なんだと思わず言ってしまいそうだった。

 だが、事態の中心がわたしである以上、由吉さんの行動を無下にすることもできない。

 わたしは恐る恐る、近江家へと近づいていく。


「あっ、愛美お姉ちゃん!」

 わたしに最初に気付いたのは、憂ちゃんだった。

 憂ちゃんはわたしの姿を見ると、靴下のまま外に出てきて、わたしに寄ってきた。

「あれ、愛美お姉ちゃん、ヘアピンしてたっけ?」

 そして、すぐに智子から貰ったヘアピンに気が付いた。やっぱり女の子なので、オシャレには敏感らしい。

「やっぱり、似合ってないよね……」

 言い訳のように呟いたわたしだったが、憂ちゃんは首をブンブンと横に振りながら、こう言ってくれた。

「ううん! 凄く似合ってる! 可愛いっ!」

 憂ちゃんの感想に、やっぱりわたしは恥ずかしくなってしまって、視線を逸らす。

「憂、愛美ちゃんが困ってるだろ」

 そんな風に、蓮さんもわたしのところにやって来る。きちんと靴を履いているところが蓮さんらしい。

「愛美ちゃん。母さんのご飯がもうすぐできるから、早く家に入ろう」

 それだけ言って、蓮さんは家の中へと戻ろうとする。

「あっ、あの、蓮さん。その……色々とすみませんでした」

 わたしは、今までたくさんの人に迷惑をかけてしまったけれど、多分、一番わたしと向き合ってくれたのは蓮さんで、これ以上ないくらい、迷惑をかけてしまっている。

 だから、多くの意味を込めた謝罪だったのだけど、

「ん? 何のことかな?」

 と、今日もはぐらかされてしまった。

 やっぱり、この人には敵わないと、わたしは思った。


「愛美ちゃん! どうして連絡くれなかったのさ!」

 そして、未だに由吉さんの右手に巻かれている包帯を見ると、胸の奥がズキズキと痛んでしまう。

 それでも、由吉さんはいつもの朗らかな笑顔を向けて、わたしと接してくれている。


「ほらみんな、ご飯できたわよ。あっ! 愛美ちゃんも帰って来てたのね。ちょうど良かったわ」

 それじゃみんなでご飯にしましょう。と、優しい声で久瑠実さんが声を掛ける。家の中からは、美味しそうな匂いが溢れてきていて、空腹感がより一層増したような気がする。


「じゃ、愛美ちゃん」

 由吉さんがわたしのところに来て、手を伸ばしてくれる。

 その手を掴んで、わたしは近江家の玄関へと足を踏み入れた。



 きっとこれから、この家で、たくさんの出来事を経験するだろう。

 それはいい思い出だけじゃなく、悲しくなるような思い出もあるかもしれない。

 でも、きっとここでなら、弱い自分を、わたし自身が受け入れられるかもしれない。



 わたしは、家族なんて嫌いだ。



 それでも、少しずつ、向き合っていこう。


 由吉さん。

 久瑠実さん。

 蓮さん。

 憂ちゃん。


 それぞれの顔をしっかりと見て、不器用な笑顔だったけど、わたしはみんなに、こう告げるだった。




「ただいま」


〈了〉


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わたしは家族なんて嫌いだ ひなた華月 @hinakadu

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