第3話
【決行の日】
この日は、一番に、オオヒキに連絡を入れ。
何名かの傭兵を国に忍ばせて。
この国最後の景色を眺める烏。
そして、子守りの時間。
いつもの様に、烏は、小さな繭の形をした建物に向かい。
扉を開け シロの様子を窺う。
今日は、心なしか少し元気そうにも想える。
シロは、久しぶりに、烏に傭兵時代の話を求めた。
烏は、最後だからと、自分が何故傭兵になったかの話を
一部伏せながら、シロに話始めた。
その日は、やはりシロの体調も良かったのか
2人は、何時間も、話をして、いつ振りだろうか
シロのこんなキラキラした目を見るのも。
休憩を挟みながら、ご飯を与えながら。
その一方、オオヒキ率いる傭兵集団も、国に続々と
潜入し、オオヒキは、烏から教わった裏ルートをつたって
国王がいる城まで辿り着いていた。
20時半。辺りが暗くなっていくのと同時に。
オオヒキは、城へ潜入する。
烏も、最後の薬を確認し。シロへと飲ます。
それと同時に、ポケットの電話をワンコール。
オオヒキ宛に鳴らした。
コンコン。
「入れ。」
王は、いつもの様に、烏からの報告を受けようとするが
烏の姿が見当たらない。
「ふざけているのか?さっさと 参れ!烏!」
すると天井から、ゲコゲコと笑い声が聞こえ、
天井を眺めた瞬間に、オオヒキが、一気に剣を王に向けて降りてくる
その頃 国でも、オオヒキの仲間達が、
国を制圧し始めていた。民家は、燃え
国の民の悲鳴が、鳴り響く。
「傭兵さん。」
シロは、此処から出ていく烏を呼び止めた。
「今日もありがとうございました。」
「僕ね・・・やっぱり大きくなったら 傭兵さんみたいになりたいや」
シロは、笑顔で、烏にそう答えた。
烏は、今まで被っていたマスクを外し
シロの目を見て 「そうか。早く大きくなれよ」と返し。
シロは、嬉しそうに
「おやすみなさい。傭兵さん」と
深い眠りについた。
数分経った後、烏は、冷たくなっていくシロを確認し
建物から出て行こうとする。
ゴホンッといつもの様に 烏が咳き込むと
床に、透明な水と。血が落ちる。
烏は、ゆっくりポケットから カプセル状の薬を
咳き込みながらも、2錠 口に含んだ。
そしてゆっくり 呑み込んだ。
ゴホッ ゴホッと。
烏は、再び 動かなくなったシロを見て
まだ出逢った頃に話した シロとの会話を思い出していた。
【傭兵さんの右腕の大きな傷って】
【これか?これは、昔戦場でね】
【じゃぁ飛べないの??】
【あぁ、その日から飛べなくなった・・・だから傭兵を辞めた】
【そっか。だったら僕が大きくなって飛べるようになったら
傭兵さんを空に連れてってあげる!】
【大きくなったらって・・・】
【だから安心して! 僕が傭兵さんの翼になるから!!】
【・・・楽しみにしてるよ】
【うん!!早く大きくならなきゃ!!】
烏は、ゆっくりと扉を開け、泪が零れないように
空を見上げた。
COCOON ウキイヨ @ukiyo112
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