第6話
ど、どういうことだ、まさか本当に神様が来るなんて……
「智、あんなうさんくさいの信じるんじゃねぇぞ。とにかく今は何か方法を…」
「いや…、もう信じるしかない、俺の1番大切な人…」
俺は今まで関わってきたたくさんの人を頭に思い浮かべた。母ちゃん、父ちゃん、じいちゃん、ばあちゃん、中学の同級生…そして、駆。
「本当にごめんなさい。母ちゃん、父ちゃん、みんな、駆。俺が悪かった。もう二度とこんなことはしない。だから、みんなを、みんなの大切なものを元に戻してくれ…!」
俺は必死に謝った。みんなを思い浮かべながら。すると、徐々に俺の腕が形を取り戻し始めた。そして完全に元に戻ったと思うと母ちゃんの声が聞こえた。
「あら、私寝てたのかしら…智、もう帰ってるの?」
「母ちゃん…!体は平気なのか。もう大丈夫なのか。」
「どうしたの、そんなに慌てて。別になんともないわよ、ってなに泣いてるの。もうおかしな子ね。」
俺はホッとして部屋に戻った。
「駆、本当にごめんな。俺のせいで。」
「別におまえのせいじゃねぇよ。俺も共犯だし。とにかく、全部元に戻って良かったじゃねぇか。俺も二度とこんな能力使わないからな。」
「おう。」
その時もう俺達の能力は完全に消滅していたらしい。あっても二度と使わないが。能力が消滅してふと体が軽くなった気がした。これからは駆のことも、母ちゃんのこともより一層大切にしようと思う。何かを失うことはとても辛いことだと知ったから。
謝ることの意味 ちりめんじゃこ @chirimenjyako
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