第5話
「……とし。智!」
「ん、あぁ、なに?」
「しっかりしろ。さっきからずっと上の空って感じだぞ。お前の気持ちも分かるが今はこの事態を解決するのが先だ、だから協力してくれ。」
俺は少し怒った駆の言葉を聞くと途端に涙が溢れて止まらなくなってしまった。もうどうなってもいい、そんな気持ちで俺はこう言った。
「俺がこんな世界を作ってしまったからみんなの大事なものも次々となくなっていってる。全て俺のせいだ。本当にごめんなさい。俺はもうどうなってもいいから、誰か、誰でもいいからこの世界を終わらせてくれ…!」
俺はもう気がおかしくなってしまったのかもしれない。まるで神頼みみたいな。
ふと、左腕が消えていくような感覚に陥る。そこに目を落とすと、そこには俺の腕はなかった。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ」
俺は狂ったように叫んだ。もう何が何だか分からなかった。そんな時どこからか声が聞こえてきた。
_____お前は、"謝ったら自分の大事なものが1つずつなくなる"世界を作り出した。それは取り返しのつかないことだ。そのせいで多くの人から大切なものを、人を、消してしまった。これは本来ならば許されざる行為だ。だが、特別にお前にチャンスをやろう。この世界を終わらせるためのチャンスを。お前の大切な人を思い浮かべて心の底から謝るのだ。そうすればこの世界もきっと終わるかもしれん。
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