前作の『バベルの上にも雪は降る』でも感じたのですが、生命科学的なモチーフの上に日本語で紡がれる情感がとても好きです。それがホラーに向かって進んでいくのを「怖いよぉ…」とふるえながら、ついつい止まらずに読み進めてしまいました。そして最後の行で、「集合体」ということの恐ろしさにあらためてふるえあがっているところです。