普遍と不変

@lain-wired

臥薪嘗胆

「ねぇ、教えてよ。なんで私をいじめたの?」

教室に全員がいる中で全員に聞こえるような声で聞いた。

「なんでって、嫌いだからだよ」

そうやって主犯者の大森和葉は言う。

高校生はこんな単純な理由で人を虐める。そして不思議なことにこの女はモテるし評判がある。はは、私とは違うよね。人を虐めたって評判がいいだなんておかしいよね?

おかしいよ。

おかしいのにね。

でもおかしなことが起こるのが人間なんだって。道徳や倫理を教えたって結局こうなる。私だって頑張ったのに、この女がすぐに私の悪い噂を流せばそんなものすぐに消えて悪い人間だと信じ込んで、あまつさえその嘘を口実にいじめることも出来る。人の可能性は無限大だよな、はは。

「別に私は悪いと思ってないけどね。お前はいじめられるべき人間だと思うし」

「私もそう思うな」

同調するように椎名健も言う。

この男は和葉と付き合っていて、一緒に私をいじめる主犯格の共犯だ。こいつも何故か評判がいい。きっとイケメンだからだろう。世の中は内面じゃなく外面を見る。

「和葉ちゃんの言ってることは正しいし、お前のことが気持ち悪いから虐めてるんだ」

すごい身勝手なことを言うけど、これがみんなの意見らしい。ところで、こんなに女子っぽい話し方だったっけ。

「私は、苦しんだんだよ?助けてって何度も言った。でも誰も助けてくれなかった。死にたくても怖くて死ねなくて、消えたくても消えられなかったのに」

「そんなの私たちに言ってどうするの?いじめのネタになるだけだよ?」

ははははは

大爆笑が学級に起こる。

やっぱり言葉じゃ何も変わってくれない。また苦しくなるだけだ。

「ここにお前の味方はいないよ?」

「なんで生きてるの?馬鹿だね笑笑」

「さっさと死ねばいいのにね笑笑」

うるさい

そう言って和葉の喉を片手に持っていたナイフで切った。

すると、辺りは静寂になった。そして今が夜であることを思い出した。

あぁ、そうだった。

学級のみんなを殺して教室に連れてきたんだった。

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