第11話

 いつもの帰り道、さっきまでの雲が嘘のようにきれいな茜色が広がっている。

「どうする?遅くなったけど、本屋、寄ってく?」

「ああ。その前に、のど乾いた」

「わかる」

 いつもと同じような会話。

 それでも、私の中では少し違っていた。

「よし、競争しよっか」

「は?」

「ここは正々堂々、勝負しよう。先にコンビニについた方が勝ち。負けた方は、相手にジュースとお菓子をおごる、でどうよ。」

「買った」

 彼女らしく、かわいくおごってなんて言えない。それが私たちだから。「おごらせろ」なんて言われたら笑ってしまうかもしれない。

 でも……。

「ハイ、ヨーイドン!」

「おい!ずるだろ!」

「ハンデですー。運動部なんだから、意地見せなさい!」

 私たちは私たちらしく、これからも歩いていく。

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神様、今からウソをつきます。 きょうこ @kyoko-k

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