第623話 情報収集
ドラゴンの解体作業分時間が余ったので『精霊図書館』に滅びの国について調べに来た。
今の名前で呼ばれる前の国名は『クリスドラム』。緑と羊、魔法と船の国だったみたい。
どうも『王の枝』には魔法関係の何かを願ったようだ。この世界、魔法の行使には精霊が動くから、願いからして誓いを破った後の反動が凄そうなこう……。
船がたくさん作られて、海路の開拓が盛んになったのは風の時代だけど、それより前の時代で海の覇権を取ってた。
船から魔法の砲弾というか、砲弾を飛ばすのに火薬ではなく魔法を使ってたようだ。砲撃による船体への反動も少なく、飛距離もあって便利だったらしい。
造船製鉄の技術持ちの民族で、『クリスドラム』という国を作った半分と、北の大地で氏族ごとに過ごす半分に分かれたようだ。
エスとかマリナ、タリア半島では略奪に近いことをやっていたっぽいぞ? この時代はまだマリナに『王の枝』はなく、ナルアディードの栄華もまだ遠い。ナルアディードの繁栄は、風の時代で船が増えてから。
特にエスからは金をたくさん盗ってったようだ。北の大地の民たち、今でも金の装飾ジャラジャラしてるもんね。
で、風の時代に入る直前、『滅びの国』にクラスチェンジ。元々『クリスドラム』の島の北の方にはレイスとかそっち系の魔物はいたみたいだけど、本格的に幽霊の島になった。
なんでいきなりそうなったのかよくわかっていない。王族同士の争いが原因だとか、『王の枝』を正当な後継者の血で汚したとか、捧げる約束のものを捧げなかったんだろうとか、色々書いてあったけどはっきりしない。
とにかく『王の枝』が反転して、一夜にして人の体は滅び、魂が囚われる国に変わった。ちなみに上陸すると、もれなくお仲間にしようとしてくるようです。
滅びの国って、過去に栄えてたのが分かってて、金を溜め込んでるのも有名。そう言うわけで危ないのもなんのその、過去に何人も上陸して宝物庫荒らしにチャレンジしたみたい。
結果は全部失敗。
風の時代に船で颯爽と『滅びの国』に行き、川を遡って王都のあった場所付近で砲撃したこともあるんだって。意味がなかったみたいだけど。
――俺の島も砲撃に備えておかないとダメだろうか。大きな船は近づけない仕様だけど遠距離攻撃怖い。今のところ船からの砲撃の飛距離はあんまりないみたいだけど、魔法で砲弾飛ばしてた記述に引っかかってる俺です。
何か考えよう。
話を戻して、金に目が眩んで、色々な人が色々やったみたい。上陸して戻ってきた人はほとんどいなくて、その数少ない人も実は近くまで行っただけとか、建物内には行かなかったとか。
外もあれだけど、建物内がダメっぽいぞ。中がどうなって、どうダメかは戻ってきた人がいないから不明だけど。
普通に入るのやだな?
だめだ。怖くなりそうだから、調べるのは行ってからにしよう。俺が欲しいのは旅人の石だ。クリスドラムの石は船乗りたちが使った、正しき道を指す『
海の中はあの黒い昆布だか幽霊の手だかわからないものでいっぱいなんで、できれば港町があった陸側で見つけたいんだけど。
とりあえずハウロンにランタンの出来をみてもらって、改良点とかあったら直してから行こう。でもハウロン、忙しいから相手してもらう暇があるかどうか。
エシャの民を移動させた後は、人員確保より本格的に国を回すほうに移行したんで、ハウロンのカヌムの滞在時間が短くなった。中原の情報はシュルムの動きも含めてまだ集めてるんで来るけど。
一応時間がとれるかは、精霊経由で聞いたんだけど、指定されたのは午後の一番暑い時間。確か国全体で休憩時間なんで、ちゃんと休憩してもらった方がいいんじゃないかと、そこはかとなく。
ハウロンの目の下に隈でもできてたら、差し入れだけして大人しく戻ってこようと思ってるんだ。
さて、時間の調整も兼ねて昼! 本日は、坦々麺と焼き豚入りのチャーハン半分。
辛そうなオレンジ色のスープに肉味噌、白髪ネギの白、ちらっと覗く麺。胡麻たっぷりで見た目ほど辛くは感じない、たんたんめーん!
チャーハンは焼き豚をちょっと大きめに切って、他の具材はネギと卵。ニンニクとちょっとだけ生姜と、鶏ガラスープとか。こっちも美味しいです、炭水化物万歳!
肉も好きだけど炭水化物も好きです。野菜も好きだけどね、作るようになってから特に。
食べてる時が一番幸せかもしれない。いや、リシュを撫でてる時も幸せです。すぼっと膝の間の挟まってきたリシュを撫でて、思い直す。
カヌムでみんなでしゃべってる時も好きだし、アッシュと遠乗りも好きだし、島の発展をソレイユたちに聞くのも好きだ。
たくさん好きなものが増えたね。
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