第166話 完成
黒くなるのを待つ間に羽根ペン作り。
そういえば羽根ペン、優雅なイメージがあったのに実際は羽根があると邪魔だってぶちっとしてる人が圧倒的に多くて微妙。
普通は主にガチョウの羽根を使うが、お金持ちは魔物の羽根を使っている。大きな魔物は
で、魔法陣を描く時に使うのは、この魔物の羽根ペンが必須。魔鳥、強ければ残る魔力も強く魔法陣を描くのに向いてるのかと思って強いの狩ってきた! 羽根ペンの攻撃! 紙が破れた! 羊皮紙が破れた!
……ほどほどという言葉があるらしい。先を丸めてあるし力も入れてないのにスパッと。無駄に攻撃力が高いペンができてしまった。羊皮紙も魔物の皮で作るか、いやそこまでするのは面倒くさい。
というか、羊皮紙に描く予定じゃない。あれにならちょうどいいかな?
用意してきたものにまずは普通のインクで実験、描く対象は大理石のタイル。削れるけど気にしない! むしろ刻むことでより一層長持ちするだろう。
よし、この羽根ペンはこれはこれでいいとする。大丈夫、最初からこれが目的でしたって顔をしとけば失敗だとバレない。――うそです、普通のも作りました。
はい、そういうわけでリシュ用に冷え冷えな大理石プレート完成。これなら寒かったら自分で移動して調整できるし、魔石で常時発動なのでリシュが寝ている時も冷えている。
俺のベッドの隣と、居間に設置。ついでに実験で作ったものは、カヌムの屋根裏部屋の籠の下に設置しよう。大福は暑がりだろうか寒がりだろうか? 猫って寒がりなイメージあるんだけど、坑道にいたしな。
まあ、発動させなければただの大理石プレートだし。
「リシュ、ちょっと乗ってみて」
指先でプレートをこんこんと叩いてリシュを呼ぶと、とことことやってきてくんくんと匂いを嗅いだ後に乗ってくれた。
「どうだろう?」
ぺたんと伏せてご機嫌の様子。
「暑かったら使って。あとこれ、魔力通すと冷えるやつ、こっちはプレートより冷えるから気をつけて」
真っ赤なベルト付きのバンダナ、ベルトには魔法陣を刻んだコイン状のものと魔石を入れられる球状のチャーム。ちょっと鈴っぽい。
リシュの魔力でも冷えるけど、発動のためにちょっと魔力を通せば後は一定時間魔石から魔力供給されるようにした。リシュに無理はさせられない。
「似合ってる、似合ってる」
特に嫌がる風もなく、つけさせてくれた。可愛さアップ! 洗濯もしたいし、色違いも作ろうかな?
さっそくリシュが発動させたのか、撫でていたリシュの毛皮がひんやりしてきた。賢い、賢い。
氷属性や雪、冷風なんかの魔石はまだある。布団作った時とエクス棒を手にいれるための旅で結構な量の魔物を倒しているからだ。
魔力供給だけだったら他の属性でもいいし、そっちは黒精霊を追い回している時に狩った魔物や、オオトカゲ分もある。オオトカゲの魔石は
魔石は色が綺麗で球体に近いほどお高い。魔石は魔物の
精霊は水や花などと同じく宝石が好きで、特に球体が好き。中に入り込むことも多いのだが、入り込むと魔石の魔力が切れるまで出られなくなる。もともと魔物というか黒い精霊は普通の精霊を取り込むのでその辺が関係してるのかな?
まあ、宝石は寝床として人気らしいので精霊的には閉じ込められても問題ないことの方が多い。
自身と同じ属性を好み、寝心地は丸いほどいいってことらしい。さらに強い力を持つ魔石の出来上がり。でかいのは
図書館の知識とレッツェたちに聞いたことを思い出しつつ、冷え冷えする魔法陣を枕カバーに描く俺。魔力供給用の魔法陣を刻んだチャームを端にくっつけて完成。暑くなったら魔石をセットして冷え冷えで寝よう。
我慢できなくなったらシーツにも描くつもりだけど、とりあえず季節も感じたいし。
――大理石より布の方が冷えが緩いな、リシュの籠に敷く布にも描いておこう。
なお、冷え冷えする魔法陣は正式名称を『氷室の陣』と言って、特殊な石に陣を描き、床と壁、天井まで囲って砂漠の国で氷室を作っていたようだ。風、樹より前の火が幅を効かせていた時代の遺物。特殊な石を使わなければ、効果が下がってちょうどいいかんじ。
「リシュ、お腹冷やしすぎるなよ」
さて、本日は終了。夕飯はステーキと野菜スープでいいや、終わったら金銀用の菓子を焼いておこう。
明日はナルアディードで魔石の値段をチェックして、島に行って進捗を確認しよう。森の家は現在乾燥中、そろそろ乾くから明後日からは続きを始めよう。
壁まではいいけど、二階の床と屋根は一人じゃ面倒そうなんだが、一人になるところを狙ってレッツェ誘拐してっちゃダメだろうか。
ディノッソは家族と一緒だろうし、執事にはアッシュがいる上、似合わない作業だ。
絶対怒られるからしないけど。
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