第69話 街の様子
しばらく森で作業をしつつ、畑の整備をしていたのだが、途中で午前畑で午後森の方がいいことがわかった。適当にやっているので、家づくりが楽しければ畑は休んで一日中やってるけど。
家の作業は午前でも午後でもどっちでもいいんだけど、名付け的に都合がいい。普通の精霊は向こうから寄ってくるので問題ないのだが、黒い精霊は夕闇が迫った頃の方が寄ってくる。
見えにくいのを利用して攻撃してくるというのが正しいけど、こちらとしては近づいてくるのは好都合なので片っ端から捕まえている。相変わらず力技でいっている。
畑の方は種を蒔いてしまえばあとはしばらくすることがないので、そうしたら魔法陣を描いてみようとは思っている。うん、まずは畑を片付けてしまおう。
バジルとフェンネル、チシャはこっちでも作られている。主に煮込み料理や豆類などと共にスープなどにも使われる黒キャベツあたりも馴染みが……嘘です、バジル以外の二つは馴染みがないです。チシャがちょっと丸まってないレタスだけど。
道端に生えてた野生のルッコラ、これはわりと知っているのに近い、ただ味が濃いというか苦いし固い。同じく野生のチコリ、将来はイタリアンで出てくる白菜の小さいのみたいになるはず。
ズッキーニとトマトにも挑戦。おいしくなるがいい!
ジャガイモをはじめ丈夫な野菜もあるけど、そうでないものや柔らかく仕上げたいものは土も柔らかく栄養豊かに。保水力があったほうがいいのか、それとも排水性がないと根腐れしやすいのか。酸性がいいのかアルカリ性がいいのか――【鑑定】で解決してしまうわけだが、作業は自分でしなきゃいけない。
本当、体力と腕力あるの楽だな。島に飛ばされた時は道具もないし、食べていないせいですぐ疲れるしで大変だった。あの時は趣味で土起こしできるようになるとは思ってなかったし。
枯葉と糠を土にすきこんで放置する場所を作った。森から腐葉土を集めたし、湖に行って苔を採取し乾燥させてピートモスも作った。暖炉の灰はたくさんあるし、水は流れている。
【転移】【鑑定】【収納】は本当に便利!
トマトとバジル、ルッコラは植木鉢にも植えて借家にも持って行こう。トマトは指先くらいの小さな赤い実を鈴なりにつけるので、観賞用になっているのだ。後者二つはすぐ食べられるように。
まだ生えてないけど。
昼食はカレーうどん。鰹出汁、スパイス強めに麺はコシが強め。油揚げとネギ、別に仕込んだ柔らかい煮豚をどーんと。
暖炉での煮込み料理とかシンプルな味のものが多いせいか、ついカレーに走る。副菜はキャロットラペとらっきょう、豆腐。
アイスクリームを作りたいのだが、雪山に【転移】して氷を取ってくるか、それとも金属鍋を雪に埋めて冷やしておいたほうがいいだろうか。
暖炉で暖まった部屋で食べると温まるカレーうどんを食べて、冷たいアイスクリームという贅沢をですね……。今から作るのは遅いけど、次回は用意したい。
だいぶ暖かくなって、晴れることも多くなった。俺の家は低いとはいえ山の中腹なので、今日のようにまだ寒い日もあるけど。
食休みも兼ねてリシュと遊ぶ。船を岸に繫ぎ止めるぶっとい
フリスビーも欲しいな。木製でもいけるだろうか? あれ、丸い盆を買えばいいのかもしかして? ちょっと後で店を覗いてみよう。
ディノッソに作ってもらったほうが早い気もする、色々内職している冬の間に作ってもらえばよかった。
投げられた綱のおもちゃをダッシュで追って、小さな体でくわえて戻ってくるリシュ。下につかないように一生懸命顔を上げてトタトタとこちらへ走ってくるのだが、綱が太すぎて面白い顔になってる。
このように家は平和だが、カヌムの街中は討伐隊が出たことでざわざわと落ち着かない。
過去の経験から、何か季節で現れる高価なものがあるならともかく、そうでもないのに余所から冒険者が集まってきた時点で、森で何が起こっているのか大体予想がついてしまうのだ。
ギルドも隠すことなく情報を開示している。もちろん、今回は早期発見で心配はないことも添えて。
森は広いので、魔の森に面した町というか国は一つではない。それぞれ冒険者を集めて同じような対処を始めたはずだ。他の三方については調査からかな? その前にカヌムからの連絡が場所によってはまだ届いていない可能性もあるけど。
場所によっては国や冒険者ギルド、商業ギルドで、伝令のための鳩を飼ってたりするらしく、早いとこは早いらしい。ただ、途中で魔物にバクっとされたり、農民に美味しく頂かれたりしてしまうことがあるため確実ではない。
行商人に託したり、早馬を乗り継いだりと重要な知らせは複数のルートで送られるんだそうだ。特に隠す必要がない情報はそれができる。
一番確実で早いのは精霊を使うことだが、これはとても数が少ないのだそうだ。
俺の【転移】と【収納】で運送業をするのが
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