いつもと同じように 風に身をまかせ

いつもと同じように 風に身をまかせ

いつもと違うと 私は気づく


大きな体の先に 小さな体があって

さらにその末節に 私はいる


どこかから伝わってくる かすかなしるし

時が来るのだと 私は悟る


少しずつ少しずつ 私は乾いて

少しずつ少しずつ 私は色を変える


早く落ちろと 風に揺すられ

早く朽ちろと 雨に叩かれ


私は必死に喘ぎながら

私のこの場所にしがみつく


そうして 独りぼっちになっても

忘れ物のように 残っていた


やがて 静かに事切れる時


私は無名の一葉となって

冷たい風にさらわれる


忘れ去られた 秋の落とし物

誰も私を探さない

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る