誰かの気配を感じて

誰かの気配を感じて

ふっと 振り返る


昨日まではなかった影が

そこまで伸びている


いつの間にか 空気は密度をゆるめて

陽の色は 少し褪せて


小さく手を振るように

思わせぶりに光が揺らぐ


あぁ 行ってしまうんだな


たくさんの思い出に混じって

少しの後悔と いくつかの諦め


いつだって どこにいたって

これで満足ということがない


今年も 行ってしまうんだ


描き切れない 甘やかな情景と

手の届かない 眩しい憧れを残して



もう 風も空も木々も気づいている

昨日とは違う 顔つきをして


そうか 終わりか——

吐息にのせて いつもの未練を手放せば

胸が 透明に空いていく

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