第4話「確率0.003%武器の実力」
レイドバトルの敵はドラゴン族のキャラだった。
口から火を吐きながら、僕のキャラは瞬時に避ける。剣を持ちながら敵の尻尾を狙う。
「おい!神宮寺!いつもの支援魔法を頼む!……って神宮寺?何身体を震わせてるんだ?」
何か異変が起こったのだろうか?意味もわからず、神宮寺スマホは画面を見ながら突っ立っている。
「……、やってしまったわ。九条南。装備を替えるの忘れてたわ。今あのピックアップの武器をつけたままだったわ」
「……、は?今なんて?」
「スキル???の武器をつけっぱなしでレイドバトルに出てしまったのよ。どうしよう。九条南!!どうしよう」
始まってから、まさかのおちょこちょいのスキルを発動してしまったらしい。
僕はスマホの画面を見ながら、神宮寺に声をかける。
「つけっぱなしで始まったものは仕方なねえ!!支援魔法ぐらいは打てるだろう。援護しながら死なないようにしてろ。死んだら回復に時間が掛かるからな」
「わかったわ。後方で支援魔法をかけながら逃げ回ってる」
スマホ画面の敵は突っ込んで僕のキャラに突っ込んでくる。僕はクルッと転がり、素早く回避する。
敵の背中に回り込み、剣を斬りつけた。
「よっしゃ!弱点に斬り込んだぜ」
「この調子よ!ん?ねえ九条南!なんだか???が光り輝いているのだけど、タップするわね」
「ちょっと待て!スキルの効果を見てからでも……」
二人のスマホ画面がいきなり光りだす。いきなり神宮寺の必殺技演出が入る。
『火の粉の精を集え、インフェルノ!!!』
ドラゴン族の敵の周りに火が囲み、そして、大爆発の魔法が起こる。時折、聞こえるドラゴンの叫びに敵が可哀想になるほどに。次第に火の粉が無くなり、真っ黒の敵が露わになる。
「こりゃ、勝負あったな。って神宮寺大丈夫か」
「ふふふ、私は大丈夫だよ。しかし、こんな強力な武器だったとは思わなかったわ。これで星四の道具が手に入ったわ。ははははははは」
スマホ画面の神宮寺のキャラは倒れたまんまになっているが、まあこのバトルの報酬シーンに入れば直るだろう。
それを知ってか神宮寺はニヤニヤしながら、僕にスマホ画面を見せつけてくる。
「ねえ、私の新の力見た!!凄くない。凄いよね。さすが確率0.003%の確率なだけあるわー」
ウゼェえええええええええ、と感じながらも、勝利の立役者に拍手を送る。
「はいはい、さすが神宮寺!これからもよろしく頼むよ。あ、次は神社の方に星三のレイドバトルが発生してるよ。行こうぜ……??どうしたんだ?」
僕の言葉を言い終わるまでに神宮寺は身体をプルプルとしながらうつむいていた。
「……、聞いてちょうだい!いや聞きなさい!九条南。なぜか私のスタミナが一になってるのよ」
「は?そんなことないだろう。僕よりレベルが高いくせして……」
僕は神宮寺のスマホを見て絶句する。本当にスタミナが一になっている。そしてよく見るとこんな文字が隣についていた。
『スタミナ:1/1:回復まで約一日』
「……おい、神宮寺、もしかしてこの武器のスキル使ったら、一日待たないといけない系かもしれないな」
「なんでよ!!!!なんで一発こっきりなのよ。もうこの武器は封印よ!!!!」
ぺたんと神宮寺は座り込み、声を上げる。雨の雫がぽたっと僕の額に着く。ちらりと空を見ると雨が止み太陽が顔を出していた。
「それじゃ、今日は解散だな。また来るよ!」
「仕方ないわね。今日のところはこれで勘弁してあげるわ。またいらっしゃい!次は星五を倒すわよ」
神宮寺は手を振りながら、僕を見送ってくれた。そんな姿を見ながら、階段を降りてこの場を後にした。
レイドバトルの女神ちゃま 誠二吾郎(まこじごろう) @shimashimao
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。レイドバトルの女神ちゃまの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます