第3話「確率、0.003%のレア武器」

 それは小雨の降る曇り空だった。僕はいつものように神社の前、商いの階段付近に来ていた。

「遅かったわねえ。待ってたわよ」

「ん?なんだ。神宮寺か、って待ってたってへんな表現だな」

「ふん、私をそこら辺の奴らと一緒にしないでちょうだい!!貴様の気配を察して待ってたのよ」

 こいつは動物か何かだろうか。僕はジトッとした目で見る。そんな様子も気にすることなく、僕の手を引っ張ってくる。

「さて行きましょうか。モンスターならそこら中に出現してるわよ」

 神宮寺はウキウキしながら言い、引っ張られるように僕は歩いて行った。



「それでね。昨日ガチャ引いたら、レア武器手に入ったのよ。今ピックアップ中の限定レア武器よ」

「まじかよ。あの杖武器??いーな。確率0.003%の当たらないと噂の武器を!!」

 神宮寺は鼻を大きく開けて、ドヤ顔になる。

 見るからに喜んでるのがわかる。もしかして待ってたのは自慢したかったからだろうか。

「ふふん、当然強化はしたわよ。見てなさい!九条南!私の新武器の強さを!」


「エターナルソード!!」

 僕の必殺技で敵を倒した。神宮寺はプルプルと身体を震わせている。

 神宮寺はキッと僕を睨みつけるが、僕はそっと目を背ける。

「なんなのよ。この武器!!全然スキル発動出来ないじゃない!!なによ、この???の項目は、意味わからない」

「もしかして開発途中のバグかもしれないね」

「バグ!!!!!そんなの認めないわよ。ねえ私の無料石、三百連分返してよ。ねえ返してー」

 こいつそんなに溜め込んでたのかよ、と心の中でツッコミを入れる。

「ん!九条南!!この近くにレイドバトルがあるみたいよ!星四の敵みたいね。善は急げよ。早く行くわよ」

 そう言いながら、僕の手をぎゅっと握りしめ、引っ張っていく。なんて力だ。抵抗する事も出来ずに神宮寺に着いていくしかなかった。



 ポツポツと雨が降ってくる。風はなく、木はあまり揺れていない。

 屋根がある手水てみずの場所まで移動する。

「ここならレイドバトル出来そうやね。さあ早くアプリを起動するのよ」

「ああ、今起動してるよ。それにしてもここの場所よく知ってたよな。天気予報は小雨って言ってたけれど、最悪持ってきたカッパに着替えるところだったぜ」

「ふふん、私を誰だと思ってるの。ここの主、神様である神宮寺要なのよ。私はなんでも知ってるわよ」

 僕は神宮寺の戯言に目で引いていると、大きな声で神宮寺は声を出した。

「さあ、私の道具の一つになりなさい!!ぶっ殺してやるわよ」

 仮にもさっき、神様と言っていた奴が似つかわない台詞を吐いてレイドバトル(星四)は始まった。

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