以前から、短編の中に巧みな構造を組み込み、感動を届けてくださった羽間慧さんの最新作です(2019/10/11現在)。
「告白」という王道的な具材を扱いながらも、「どうしてタイムスリップ要素が必要なのか」という料理の仕方が実に巧みです。
焦点が当てられているのは、主人公の高校時代と大学時代。これだけでも十分興味を惹かれる年代ですが、そこに「告白」を持ってきたのが憎いですね(笑)
そこで描かれる、「進路を目指す姿勢」と「後悔」。未来ある世代を描く上で、実に素晴らしいチョイスです。それをここまで繊細に描き、「あのラスト」に持っていくのは、読者側からすればまさに想定外。
実に美しいストーリーラインとエンディングでした。