文章が読み安く、更に素敵な文字の並びでした。随所に登場する紅茶と月が想像を沸き上がらせて、淡い恋を物語っていく印象が素晴らしいです。スーツ姿でビシッと決める彼が時に可愛い一面を見せる所が、個人的には最高でした!
きめ細やかな情景描写に登場人物の心が映り込んで、読後の余韻が心地よい作品です。紅茶の香り、カップに淹れる音、その温もりや檸檬の苦み。満ちていく月に、迫りくる時間。五感をくすぐるそれらひとつひとつが登場人物の心境と繋がっており、無駄のない、それでいて美しい文章を堪能しました。
熟成された月の下で奏でる人生は柔らかく豊かな音楽なのかもしれません。若い二人の間で熟されていくものそんな答えをあなたが知っていたとしてもそれをゆっくり熟させながら芳醇な月酒をいただくそんなあなたの熟成な時をこの小説と共にいかがですか?本作は詩的な雰囲気とエッセイとを往き来する秀作です。日南田ウヲ
大人の雰囲気漂う、ハイセンスな作品。思春期の10代、背伸びしてこちらの作品を読んで大人のきびを学んで見ては?