<<プロローグ 覆面パトカー>>
「国府台病院は満床です。幕張病院に空きベッドあり、これから搬送します」
青、橙色。青、橙色。
深夜の京葉道路は空港の滑走路のように光り輝いている。
一台の車が東へ向かう。
後部座席、私の横に座っていた夫は、私の手をギュッと握っている。
その手は激しく汗ばんで震えていた。
「どこに行くの」
夫は答えた。
「海浜幕張だよ」
「この車は?」
一瞬車内の空気が凍り付いたような気がした。
「覆面パトカーだよ」
あの、私何かしました? どうしよう、覚えていない。
パソコンをいじっていたら警察の人が来たんだっけ?
海浜幕張なんか行ってどうするの?
これから何が起こるの?
???
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