<<とらわれた宇宙人>>
私は二人の看護士さんから両腕を取られて「とらわれた宇宙人」のような状態で廊下に出た。
既にストレッチャー、コップ、点滴等が用意されている。
「じゅりさん、これ飲んで下さい」
看護師さんの一人が、コップと錠剤をくれた。
(これを飲ませて寝かせて、病室に監禁するんだろうなぁ)
しかしここまで来ればどうしようもない。私は大人しく薬を飲んだ。
「じゃあ、ストレッチャーの上に寝てくれるかな?」
私はストレッチャーの上に座った。そのとき寝床の部分に頑丈そうなベルトを見つけ、ハッとした。これかい、拘束帯たらいうのは?
横になると、急激に眠気がしてきた。意識なくなりそう。
とにかく看護士さんたちが増えてきたことだけは解った。何か喋ってる…。
「この黒いワンピース、H&Mのじゃない」
「上に着てるシャツもH&Mだよ。センス良いわね」
本当にそういう発言があったどうかはさておき、こんな状況下でも褒めて貰えたのは
嬉しくて、思わずニヤリとしそうになったが、ここは黙って眠っておくのが相応じゃろうと、薄目を開けて看護士さんたちの動きをそ~っと覗いていたら…。
1人の看護士さんが、片手にビニールの細い管、もう片方の手には半分透き通った…にょにょにょにょにょ、尿器を持ってるやないか~い!!
ど、どうしよう。
カテーテルで採尿。
私はあれだけは無理だ。やって貰ったことはないけど、怖い。痛そうだし、何よりも恥ずかしいし…。
っていうかそんなのあるなら抗うつ剤を一服貰う前に言ってくれれば大人しく自分で採尿室に行ったのに!! ※許可されないと思う
今からなら遅くない。逃げるか。
しかし私は、ぱったりとストレッチャーの上に倒れて眠ってしまったのだった。
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