台風一過のこの日、君と

ひまり

第1話

台風の事を俺はなんとなくだけど悪いやつではないと思っている。

なぜって?

学校を休みにしてくれるからさ。

みんなも正直思ってるだろ?

台風の進路予報をニュースで見た時に自分が住んでいる場所が直撃コースだったとき、誰もが喜ぶはずだ。

学校が休み、会社が休み、電車もうごいていない。

だから俺はいつも台風に期待しているし、応援している。

いつからだろう、台風に恐れを全く感じずむしろ友達や親のような気持ちで見守るようになったのは。


気がつけば俺は台風の道標となっていた。

比喩ではなく、なんとなくだが台風のルートが分かるし、ある程度操ることが出来た。

もしかしたら、たまたまかもしれないし運がいいだけかもしれない。

それでも好きにできた方が浪漫があるだろ?

でも、周りにはなすことはしない。

痛いやつだとおもわれるかもしれない、もあるが他人に言ったら終わりな気がするっていうのが1番大きな理由だ。

俺が台風を操れると気づいたのは中学の1年の時だ。

台風2つ連続で来た時、俺は学校が休みになる!と喜んでいたが、2つ目はどうやら日曜日に地元を直撃すると知り焦った。

日曜には好きで好きでたまらないゲームの新作が出るのだ。

前作は親に頼み込んで早朝からゲームショップに並んだものだ。

だから俺は願った。

そうするとどうだ、金曜日は台風のおかげで休みになり、日曜日には台風か見事に避けて行った。

俺はなんの確信のないままだったが早朝に目覚ましをセットし見事ゲームのスタートダッシュを大成功させた。

それ以来俺は台風を操って楽をしてきた。

夏は台風がたくさんあるから休みがどんどん増える。

しかもみんな喜んでいる。

だから俺は飽きることなく続けてきた。

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台風一過のこの日、君と ひまり @HIMAnaMARY

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