第10話

もう卒業も間近だ。



ところがある夜、ようをたそうとトイレに行きドアを開けると、便座に男がズボンも下げないままに座っていた。


すぐにわかった。


その男は俺自身だったのだ。


つまり影。


俺はドアを荒々しく閉めた。


影はまたやってくるだろう。


それも明日。


そしてその影を見た俺は死ぬのだ。


以前ならは真里沙に助けてもらうところだろう。


しかし真里沙とは別れてしまった。


原因は俺の浮気。


真里沙以上に美人でプロポーションのいい女に出会ってしまったのだから仕方がない。


今は真里沙の連絡先も知らないし、何処に住んでいるのかもわからないのだ。


とにかく時間がない。


影は明日になれば必ず現れる。


俺が何処にいようと。


俺は考えた。


――……どうしよう?



        終

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

影を見た ツヨシ @kunkunkonkon

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ