例えば明日世界が滅んでしまうとして
「例えば明日世界が滅んでしまうとして、あなたは私を見逃してくれますか?」
目の前に立つ殺人鬼さんに問いかけると、彼は優しく笑いながら頭を横に振った。
周りで「早く逃げろ!」と叫ぶ大人達も声とは裏腹に助けようとする気配もない。
殺人鬼さんは包丁を左手に持ち替えて空いた手で頭を撫でてくる。
手にべっとりと付いた血が髪に付き不快な気持ちになってその手を振り払う。
その後、殺人鬼さんが少し悲しそうな顔をしながら、包丁を振り上げたのが見えた。
直後、私の視界が高くなって大人たちの声は叫び声に変わった。
遠のく意識の中、首が切られたことを理解しながら何故か私は笑ってしまっていた。
不完全な言葉の世界 senri、 @1000kyuri
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